HOME10.電力・エネルギー |仏銀行BNP Paribas、シェールオイル・ガス、オイルサンドなどの非伝統的化石燃料関連企業への投融資停止を宣言。北極海での原油・ガス採掘にも融資せず。環境NGOは「他の金融機関の追随を期待」と歓迎(RIEF) |

仏銀行BNP Paribas、シェールオイル・ガス、オイルサンドなどの非伝統的化石燃料関連企業への投融資停止を宣言。北極海での原油・ガス採掘にも融資せず。環境NGOは「他の金融機関の追随を期待」と歓迎(RIEF)

2017-10-14 22:03:50

BNPParibas1キャプチャ

 

  フランスの大手銀行BNPパリバは、シェールオイルや同ガス、オイルサンド(石油成分を含む砂岩)の探鉱・生産・供給に関連する企業向け投融資を全面的に停止すると発表した。これらの事業からは温室効果ガスが大容量で排出され、パリ協定への取り組みに反するため、としている。同時に、北極圏での原油、ガスの探鉱や生産事業への融資も行わない。米国市場を中心に拡大するシェールオイル・ガスなどへの融資停止を明言したのはBNPが初めて。

 

 BNPは2015年に締結されたパリ協定に合わせて、先進国での石炭採掘事業への融資削減と、再生可能エネルギーへの融資を2020年までに150億ユーロ(約2兆円)へと倍増させると公表していた。他の金融機関も石炭採掘への融資削減を公言するところはある。だが、シェールオイル・ガスやタールサンドなどの非伝統的化石燃料への投融資停止を具体的に明言した事例はこれまでない。

 

 CEOのジャン・ローラン・ボナフェ(Jean-Laurent Bonnafé)氏は「低炭素社会移行に向けて努力をしない企業に対するファイナンスを停止することを意味する。同時に、低炭素化を推し進める企業に対しては全力で支援していく」と述べた。

 

 そのうえで「21世紀において経済発展を支えていく大手銀行の役割は、エネルギー転換の加速を促す主体として行動しなければならない」と、金融機関としての決意を示した。従来からの石炭関連融資の削減と、再エネ投資増は引き続き堅持する。

 

 シェールオイル・ガス及びオイルサンド関連事業向け投融資停止の対象は、操業者、製造業者、配送、マーケティング、貿易事業者も含む。また、シェールやタールサンドなどから抽出した石油・ガスを輸送するパイプライン、ターミナル等の事業向けも同様。さらに、トランプ米政権が開発を目指す北極圏での石油・ガス採掘関連事業も融資停止の対象とした。

 

 BNPの決断に対して、環境NGOのFriends of the Earth France とBankTrackは共同で「BNPの新たなコミットメントを強く歓迎する。他のグローバルな大手金融機関もBNPに続くべきだ」と声明を発表した。環境NGOでは今月24日にブラジルでエクエーター原則参加行の総会が開かれることから、総会において関係行がフォローすることを促すとしている。

 

 FOEフランスのキャンペーン担当のLucie Pinson氏は「BNPは真のリーダーシップを示した」と評価している。背景には、米国で浮上したDAPL(ダコタアクセスパイプライン)事業などのように、温暖化ガス排出増とともに先住民の権利を奪う事業が相次ぎ、これらの事業に投融資してきた大手金融機関に対する批判と圧力がグローバルに高まったことが大きい。

 

 今年5月のBNPなど仏銀大手の株主総会には、米先住民らがNGOとともに参加し、パイプライン事業やシェール開発事業などへの融資停止を求める行動を起こしている。 BNPの決断は、そうした民意に背中を押された形でもある。同行の決断は、米国とカナダで開発が進められている3大タールサンドパイプライン計画(Keystone XL、 Trans Mountain 、Line 3)や、他の大規模開発事業への資金供給にも影を落としそうだ。

 

http://entreprises.bnpparibas.fr/fr/web/world/pme2/indexea7?requiredDAC=0