HOME10.電力・エネルギー |国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)は、化石燃料関連投融資がG20全体の3分の1を占め、「世界最悪の輸出信用機関(ECAs)」に。環境NGOが指摘(RIEF). |

国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)は、化石燃料関連投融資がG20全体の3分の1を占め、「世界最悪の輸出信用機関(ECAs)」に。環境NGOが指摘(RIEF).

2017-10-16 23:28:58

FOEUSA1キャプチャ

 

 日本の国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)が、2013年~15年に化石燃料関連プロジェクトに年間133億㌦(約1兆5000億円)の投融資・付保を提供し、G20各国全体の輸出信用機関(ECAs)の実績の3分の1を占めるなど、断トツの化石燃料支援機関であることが分かった。米国の環境NGOらが報告書で指摘した。

 

 報告書は「Financing Climate Disaster」と題したもの。FOE USAのほか、WWF、OILCHANGE Internationalの各NGOが共同でとりまとめた。

 

   調査によると、2013年から15年にかけての3年間で、G20各国のECAsは年間320億㌦規模の投融資や民間金融機関への保証を、石油とガス関連事業に提供している。15年のパリ協定調印で気候変動対策が国際課題となる流れの中にもかかわらず、各国のECAsは再生可能エネルギーへの資金供給の11倍も多い資金を石油・ガス開発に投じていたという。

 

 石炭関連事業にも年間56億㌦が投じられ、再エネ関連の年30億㌦より上回っている。OECDのECAsは石炭関連事業への投融資は気候変動への影響を理由に制限しており、最貧国向けや高効率の石炭火力などに限定することにしている。だが、それでも再エネ向けより多いことになる。

 

 石油・ガスへの資金供給のうち23%は新規開発事業に投じられていた。各国の本音(ビジネス優先)と建前(パリ協定遵守)が、こうしたECAsの化石燃料事業優先の投融資行動に反映している。またエネルギー事業への資金供給の88%は化石燃料に投じられており、クリーンエネルギーにはほとんど向けられていない。

 

FOE2キャプチャ

 

 そうしたECAsの中でも、日本が年間133億㌦と、もっとも多額の資金を石油・ガスの化石燃料に振り向け、「最悪ECA」の称号を得た。日本は石炭向け年17億㌦と、もっとも多い資金を供給している。日本に次ぐのは韓国(80億㌦)、それに米国(60億㌦)の順。日本は、米国の倍以上、韓国の6割増と断トツだ。

 

 各国のECAsのうち、唯一、スウェーデンのSEKはパリ協定を尊重して、化石燃料向け資金供給を減少させている。15、16年には投融資・付保を行っていないという。ただし、同国の別のECAsであるEKNは異なった姿勢で、ロシアのヤマルLNG開発プロジェクトへの資金支援を行っている。

 

 環境NGOらは、すべてのECAsは化石燃料取引の総量と内容について、それらへの資金供給決定のプロセスを含めて情報公開すべき、と指摘している。さらに化石燃料へのすべての補助・支援を停止するための政策を立案するよう求めている。

 

 また日本を含むOECD諸国のECAsに対しては、遅くとも2020年までに、すべての化石燃料向けファイナンスを停止するための主導権を発揮することを要請した。非OECDの途上国のECAsに対しては、「共通だが差異ある責任」の原則に基づいて、化石燃料依存を終わらせるよう勧告している。


 報告書レポートをまとめたFoE USの国際政策アナリスト、ケイト・デアンゲリスは「世界中のリーダーらが気候変動を食い止めたいと話す一方で、ECAsを使って世界中の化石燃料プロジェクトに融資を続けている」と、各国当局の”二枚舌”行動を批判している。 

http://www.foejapan.org/climate/finance/pdf/FinancingClimateDisaster_CoalOilGas_final.pdf