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グローバルな不正漁業を抑制するため、保険会社が「持続可能な海上保険宣言」。不正漁船・会社への保険を自粛する「海のスチュワードシップ原則」。東京海上日動英子会社も参加(RIEF)

2017-10-19 23:41:29

IUUキャプチャ

 

 グローバルに問題化している不法漁業を抑制するため、国連環境計画(UNEP)やPSI(持続可能な保険原則)に参加する世界の主要保険機関が、漁船などへの海上保険の引き受けに際して、不届・不法漁業(IUU)を減少させる「持続可能な海上保険宣言」を行った。「海のスチュワードシップ」原則ともいえる。日本からは東京海上日動火災の英子会社が署名した。

 

 不正漁業による国際的な損害は、毎年、100億㌦~235億㌦の規模と推計されている。漁獲高にして同1100万㌧~2600万㌧にもなる。単に経済的な不正取引であるだけでなく、漁業資源の乱獲による生態系の破壊を加速している。国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも14番目の目標として海洋資源保全をあげ、過剰漁業や不正・不法漁業(IUU)の撲滅を目指している。

 

  こうしたことから、UNEPFIやPRIなどは、主要保険会社とともに、漁船等の船舶に海上保険を提供する保険会社と、船を提供する船舶業界が共同で、不正漁業の防止を目指す取り組みを展開することになった。

 

 声明に賛同する保険会社等は、海上保険の提供に際して、①漁業者に対する教育と気づきの精神を育成②不正な漁船や不正漁業に関与する企業の保険の引き受けリスクを排除するリスクマネジメントと引き受けの強化、等を心掛ける。保険会社にとっても、保険を提供する漁船や企業が、不届・不正漁業で摘発された場合、レピュテーションリスクを被る可能性もある。

 

 今回の宣言は、ドイツのAllianz Global Corporate & Specialty、フランスのAXA、イタリアのGenerali、英国の保険代理業のHanseatic Underwriters、船舶専門の保険会社のShipowners’ Clubなどが共同スポンサーとなって取りまとめ、このほどEUがマルタで開いた国際会議「Our Ocean Conference」で宣言した。

 

 宣言には、現在、20以上の保険会社と、保険団体、主要なステークホルダーが署名している。宣言の普及はPSIと、非営利団体のOceanaが共同で推進している。 保険会社だけでなく、再保険会社、ブローカー、代理店、営業機関等に幅広く参加を呼び掛けている。また各国の保険規制機関や監督当局、市民団体等に対しては、宣言へのサポート機関としての参加を求めている。

 

  日本勢で唯一署名した東京海上日動の100%子会社のKiln(キルン)社は、同グループが2007年に買収した英国ロイズの保険グループ。

http://www.unepfi.org/news/industries/insurance/global-insurers-unite-to-cut-financial-lifeline-to-pirate-fishing/