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欧州委員会「サステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ(HLEG)」、来年1月の最終報告書の勧告数5項目に。中間報告から3項目減少。グリーンボンド基準など中心。HLEG議長が明かす(RIEF)

2017-10-30 07:10:08

HLEG1キャプチャ

 

   低炭素・持続可能な経済社会への移行するための金融システムの改革案に取り組んでいるEU・欧州委員会の「サステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ(HLEG)」は、来年1月にも予定する最終報告の概要を明らかにした。勧告候補は5項目で、①グリーンボンド基準・ラベルの明確化②金融機関の共通フィデシャリーデューティー(受託者責任)へのサステナビリティーの明示③金融当局の監視項目にサステナビリティを導入ーーなど。

 

 HLEGは昨年12月、パリ協定に対する欧州委員会の対応の一部として設立された。欧州の金融人、学者、市民団体などの代表ら20人で構成され、今年7月に中間報告を公表している。今回、HLEG議長である仏AxaグループのChristian Thimann氏の発言として英国のResponsible Investorが報じた。http://rief-jp.org/ct6/71291

 

 7月の中間報告では、勧告項目は、①欧州監督機関(ESA)がESGリスク評価の分類、高度化を運営の中に取り込む②EUグリーンボンド基準の創設③金融規制へのサステナブルテストの導入など、8つを盛り込んだ。今回、このうち、ESAへの政策対応、サステナブルテスト、エネルギー効率化(省エネ)についての会計基準の創設、の3項目については、最終報告への盛り込みを見送るとしている。

 

 この結果、5項目の勧告候補は、①サステナブルファイナンスの分類・用語の統一②EUレベルでのグリーンボンド基準と同ラベル化③金融機関の共通フィデシャリーデューティー(受託者責任)へのサステナビリティーの明示④金融を持続可能なプロジェクトに誘導するための「欧州持続可能インフラストラクチャー」の推進⑤金融監督当局のサステナビリティとリスク・モニタリングの強化、となる模様。

 

 Thimann氏は中間報告からの3項目をはずす理由について明快には説明していないが、ESAの対応は政策当局、サステナブルテストは金融機関、エネルギー効率化会計基準は事業者と、それぞれの利害関係者の意向を反映したとの見方が出ている。

 

 このうち⑤の金融監督当局の対応については、ESAの政策対応としての明記は避ける見通しだが、金融監督当局自身の取り組みは求める形なりそうだ。またサステナブルなインフラ建設の推進は、すでに7月のG20サミットや、欧州通貨同盟(EMU)の資本市場同盟(CMU)のプロジェクトとして位置付けられている。EUではインフラ開発を推進する機関(match-making body)の創設を目指している。

 

 HLEG議長の Thimann氏は金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)の副議長も務めた。

https://www.responsible-investor.com/home/article/hleg_fi/