南アフリカ共和国の政府金融機関である南アフリカ開発銀行(DBSA)は、来月、自らを「グリーン投資銀行」にモデルチェンジする。南ア政府と、他の国際公的金融機関から新たに1億6000万㌦(約180億円)の資金供給を受けるという。DBSAは南アだけでなく、南アフリカ13か国で投融資活動を展開しており、発展途上国で初の「グリーンバング」となる。
政府開発銀行のグリーンバンク化は、日本でいえば、日本政策投資銀行(DBJ)を「グリーン投資銀行」に改組するようなもの。このほどパリで開いたOECDの国際フォームで、DBSAのSyndication Financeの責任者であるJonathan First氏が明らかにした。来月半ばまでに政府の承認を得る見通しという。
太陽光発電等の再生可能エネルギー事業や環境関連のグリーン事業等に集中的に投融資する金融機関としての「グリーンバンク」は、英国が2012年に設立したグリーン投資銀行(GIB)が第一号として知られる。GIBは英国内で風力発電など、100以上のグリーン事業に投融資してきた。だが、英国政府は今年夏、GIBの資本力を増強するために民間の豪マッコリ―グループに売却した。
英GIB以外にも、米国のニューヨーク、コネチカット両州のグリーンバンクなどが知られている。ただ、いずれも先進国での設立で、発展途上国での設立はこれまでなかった。
First氏によると、新たに衣替えする「グリーン投資銀行」は民間資金を気候変動事業に導入するための触媒の役割を目指すとしている。新規供給資本の1億6000万㌦の運用で、民間資金を含めて6~7倍の資金供給につなげたいとしている。
また、アフリカの実態に合った気候変動緩和事業への資金供給パイプラインを作り上げるため、「LAB South Africa 」と名付けた金融商品・サービスの開発ハブを立ち上げることも明かした。
アフリカ全土では6億4000万人がエネルギー供給のない状態で生活を送っている。こうした低所得地域で小規模な単位でのエネルギー供給を普及することを新グリーンバンクの明確な目標にするという。First氏は、エネルギーにアクセスできない6億4000万人のうち3分の1は、オフグリッドのエネルギー供給システムを展開することで、エネルギー供給を可能にできる、との見通しを語った。