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30のカナダの金融機関・年金基金等が、上場企業に対して気候変動リスクの情報開示を求める共同声明を宣言。TCFDなどの開示フレームワークの採用を促す(RIEF)

2017-10-30 07:30:14

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   カナダの30の金融機関や年金基金等が、カナダの上場企業に向けて、各社の気候変動リスクの情報開示をするよう共同声明を宣言した。低炭素化へのエネルギー転換を促進している企業を投資先として選ぶための行動で、投資家から企業の気候変動への備えを求める動きが表面化してきた。

 

 共同声明に署名したのは、キューベック州のFinance Montréal、 Desjardins、 Caisse de dépôt et placement du Québecや、ブリティッシュ・コロンビア州の British Columbia Investment Management Corporationなどが名を連ねている。署名機関の保有資産総額は1兆2000億カナダ㌦(約9360億米㌦=約105兆7680億円)。またCFA専門機関など13機関が支援に加わった。

 

 共同声明では、「現在、カナダの株式市場でのアクティブ投資家は気候変動に関する投資情報の不足に直面している」と問題意識を示したうえで、気候変動リスクの適切な情報開示が十分でないと、投資先企業のビジネスモデルが気候変動に対して耐久力があるかどうか判断ができない、現状は望ましい状況ではない、として「変化が必要」と指摘している。

 

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 情報開示のフレームワークについては、7月のG20サミットで採択された金融安定理事会(FSB)の気候財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告をはいめ、多くの規制当局によって導入されたり、国際機関によって提案されているとし、上場企業は自ら厳格な情報開示規定を採用すべき、と提案している。

 

 また金融機関・投資家としての役割として、フィデシュアリー・デューティー(受託者責任)を尊重し、気候変動リスクの情報開示取り組む決意を表明している。

 

 その具体的な取り組みとして、①カナダの上場企業が気候変動リスク情報開示のフレームワークを採用するよう働き続ける②投資先や抱える投資ポートフォリオの気候変動リスクと機会を測定する投資家としての能力を増強し、それらを投資判断に統合する③低炭素で、あるいは投資戦略に沿ってエネルギー転換を促すような投資機会を評価、明確にする④投資先企業と協力して、それら企業の気候変動リスクをマネージすることを支援する、との4項目を宣言している。

 

http://www.finance-montreal.com/sites/default/files/publications/declaration_institutional_investors_on_climate_related_financial_risks.pdf