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Moody's 今年のグリーンボンド発行総額、最大で前年比約4割増の1300億㌦と予想。過去最大規模。途上国での発行広がる(RIEF)

2017-11-13 11:32:35

greenfinanceキャプチャ

 

 米格付け機関のMoody’s は、今年のグローバル市場でのグリーンボンド発行額が最小でも1200億㌦、最大で1300億㌦に達するとの見通しを公表した。昨年の発行額に比べ最大で約4割増となる。中国、欧州勢の発行が引き続き順調なことに加えて、メキシコ、フィジーなど途上国での発行が広がっているほか、企業発行も増えていることなどが市場の拡大につながっている。

 

 Moody’sによると、第3四半期(7~9月)の発行総額は327億㌦と、四半期ベースで過去最高だった第2四半期の322億㌦をわずかだが上回り、最高額を更新した。これで年初来9ヶ月間の発行総額は945億㌦に達した。すでに昨年年間の発行総額の934億㌦を突破している。

 

 第4四半期も、目下、ドイツのボンで開いている国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)の盛り上がりなどから、発行増が続き、年間総額は1200億~1300億㌦と、過去最大の発行額になる見通し。ただ、Moody’sは年初には2000億㌦の発行額を予想していたことから比べると、前年比約3~4割増の着実な伸びになるとみられる。来年も同様の伸びを示すと、1500億~1800億㌦規模に膨らむ可能性がある。

 

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 市場の拡大が順調な要因として、発行体が拡大している点があげられる。メキシコ市がメキシコ空港のグリーン化と拡張のためにグリーンボンドを発行したほか、フィジーは途上国初のグリーンボンド国債を発行した。またインド、アフリカ開発銀行などの発行も続いている。Moody’sでは途上国でのグリーンボンド発行市場はまだ潜在的なものだが、市場全体が発展の方向に向かっていることを示すと評価している。

 

 また第3四半期だけでも、非金融の企業発行のグリーンボンドが他の業態を抑えてトップとなった。フランス国鉄、ニューヨーク都市交通局(MTA)などのほか、中国の三峡ダム電力会社、インドのRural Electrification Corp、Azure Powerなどが、大型のグリーンボンドを発行、金融機関の発行分を上回った。

 

 Moody’sはグリーンボンドに、債券の信用格付けとは別にグリーン格付けを提供している。このグリーン格付け取得ボンドの比率も、昨年の1.4%からこれまでのところ6.1%へと順調に増加している。同社では、これも市場の成長を反映したものと分析している。

 

 投資家サイドからは、市場拡大とともに投資先の選択肢が増えることから、「より良いグリーン」を評価する動きが出ているという。特に、債券の資金使途の情報開示の明確なボンドへの評価が高まっている。またグリーンボンドに賦されるセカンドオピニオンや第三者認証などの信頼性についても、投資判断の際に考慮するケースが出てきているようだ。

https://www.moodys.com/page/search.aspx?cy=global&kw=green+bond&searchfrom=GS&spk=qs&tb=1