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今年のグローバル市場のグリーンボンド発行額、初の1000億㌦台乗せ。中國開発銀行が記念の発行機関に。中国国内基準より国際基準への適合を優先(RIEF)

2017-11-16 07:10:50

CBI1キャプチャ

 

 今年のグローバル市場でのグリーンボンド発行額が16日、1000億㌦を突破した。中国国営の中國開発銀行(CDB)が発行した15億㌦のグリーンボンドの販売が同日中に確定することで、既発行分が1014億㌦となり、大台に乗せた。今年のグリーンボンド発行額はすでに昨年の年間額を超えており、最終的には1200億~1300億㌦規模まで拡大するとみられる。

 

 CDBのグリーンボンドは、国際基準のグリーンボンド原則(GBP)に適合するほか、英国の非営利団体のClimate Bonds Initiative(CBI)が開発したClimate Bonds Standard(CBS)の認証ラベルも取得した。国際投資家が敬遠する中国国内向けのガイドラインよりも、国際基準を選好したことになる。

 

 注目されるのは、CDBが設定したグリーンボンドフレームワークだ。GBPとCBSに適合するとともに、国内ガイドラインで認めているクリーン・コールや化石燃料技術、原子力発電と原子力技術、大規模水力ダム(25MW以上)を除外する規定を明記している。日本の環境省のガイドラインではそうした規定がないうえに、GBPの原則に完全に適合しなくても、国内ではグリーンと認めるなど、日本にしか通用しない規定が盛り込まれている。

 

CDB1キャプチャ

 

  CDBは2016年末時点で、国内の再生可能エネルギーや省エネ事業など向けのグリーンローンを総額1兆5700億人民元(2370億㌦)貸し付けている。全貸出額に占める比率は15.23%と、中国の主要21行の平均グリーンローン比率(8.83%)の倍近くになっている。

 

 CDBのボンド発行の直前には、同じ国営銀行の中国工商銀行(ICBC)が21億㌦のグリーンボンドを発行した。同ボンドもGBP、CBSの両国際基準に適合している。今年のこれまでのグリーンボンド発行額を国別にみると、中国がもっと多く、次いで、フランス、米国、ドイツ、オランダの順だ。日本は、先月、三井住友、みずほの両フィナンシャルグループ、日本政策投資銀行、東京都などが相次いで発行あるいは発行を宣言したが、合わせても総額は約21.7億㌦で、10位以内にも入れていない。

 

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 国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)がドイツのボンで開かれている中での1000億㌦台乗せになったことに、前気候変動枠組み条約事務局長のChristiana Figueres氏は歓迎のコメントを出した。「1000億㌦台に乗せたということは、資本の流れが適正な方向に動いていることを示す。今日から2020年にかけて、グリーンファイナンス、気候関連投資の加速を最優先とし、過去に例のないスケールで資金を投じる必要がある」と指摘している。

 

https://www.climatebonds.net/2017/11/breaking-2017-green-bond-record-100bn-global-issuance-reached-during-cop23