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世界銀行グループ、石油・天然ガス事業への投融資を2019年以降、全面停止を宣言。パリ協定の目標達成を優先。一部の最貧国だけ例外。「気候会計」にも力(RIEF)

2017-12-14 08:14:34

WBキャプチャ

 

    世界銀行のJim Yong Kim総裁は12日、パリで開いた気候変動対策の資金確保を話し合う首脳級会合「ワン・プラネット・サミット」で、2019年以、石油や天然ガス事業への資金提供を停止すると発表した。パリ協定の目標達成を確実にすることを目指すとしている。

 

 世銀の石油・天然ガス向け融資は2016年には、資金提供総額のうち5%程度を占めている。Kim総裁は、最貧国において貧困層のエネルギーへのアクセスを高める明確なベネフィットがある場合で、かつパリ協定で各国が打ち出した国別約束に合致する場合は、ガス開発については認める、との例外規定にも言及した。

 

 また、世銀グループ全体で2020年までに気候変動に対する融資割合を28%にまで引き上げることも誓約した。現在の気候変動アクションプログラム(CCAP)を見直し、2020年以降の新たな目標とコミットメントを来年、ポーランドで開くCOP24で打ち出す予定だ。

 

 特に力を入れるのが、脱炭素の情報開示(気候会計の導入)。世銀グループのすべての投融資活動に、カーボン価値を評価する気候会計の考えを取り入れる。2018年からエネルギー開発等の主要な高CO2排出プロジェクトへの投資事業を対象としたCO2排出量の評価を開始し、来年後半には年次報告書を開示する。以降、毎年、年次報告を定例化する。

 

 同グループの国際復興開発銀行(IIRB)、国際開発協会(IDA)はすでに今年の7月から、エネルギーなどの高CO2排出産業向けの経済分析に、カーボン価格を適用するシャドー・カーボン価格制度を導入、国際金融公社(IFC)も高排出産業向けにカーボン価格を導入、18年の1月からは主要産業全体に拡大する予定だ。気候会計の導入は、民間企業・金融機関の取り組みのモデル化を目指している。

 

 またIFCは総額3億2500万㌦の「Green Cornerstone Bond Fund」を、フランスのアムンディとのパートナーシップで設立する。途上国市場への資金供給のパイプ役を目指すもので、これ等を含めて途上国の資本市場に20億㌦規模のファイナンスをする予定。すでにアムンディとの提携を含めて、10億㌦以上の資金を気候関連事業に投じることを決めている。

 

 個別国支援では、先週、エジプト向けに、化石燃料補助金の削減と、低炭素エネルギーを開発促進するへの補助金の切り替えのため、11億5000万㌦の融資提供を決めている。また今週初めの「ワン・プラネット・サミット」で、インド、エチオピア、パキスタン、セネガルなどの途上国で、低炭素化に経済社会システムを転換させる対象地域向けの多様なファイナンスも拡大することを公表している。インドでは省エネ事業、エチオピアなどでは太陽光発電事業などが対象になる。

 

 

http://www.worldbank.org/en/news/press-release/2017/12/12/world-bank-group-announcements-at-one-planet-summit