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英仏独等の中央銀行とアジアの金融当局、「金融システムを環境面で持続可能化するネットワーク」立ち上げ。日本の日銀、金融庁は枠外。アジア代表は中国人民銀行とシンガポールMAS(RIEF)

2017-12-14 09:40:08

CBキャプチャ

 

 英、独、仏などの8つの中央銀行と金融監督当局は、パリ協定へのグローバルな対応を強化することと、金融システムをより環境的に持続可能にすることを促進するためのネットワークを立ち上げると宣言した。ネットワークには、日本の日銀や金融庁は入っておらず、中国の人民銀行(PoBC)とシンガポール金融管理当局(MAS)が参加している。

 

 

 ネットワークは「Network of Central Banks and Supervisors for Greening the Financial System」。2018年4月に、オランダのアムステルダムで、ハイレベル会合を開くほか、年間を通して、意見交換を続ける。同会議はオランダ中央銀行と、英イングランド銀行、仏金融監督当局(ACPR)の共催となる。

 

 中銀ネットワークの目標は、自発的なベースで、監督対象となる各国の金融セクターの環境と気候リスクマネジメントの発展に貢献するため、これまでの各国の経験情報を交換するほか、ベストプラクティスの共有化等を目指す。環境・気候金融の実践活動を共有化することで、主要金融機関の持続可能経済への転換を支援していくという。

 

 各中銀・金融当局は、金融セクターの持続可能な成長を促進するうえで、パリ協定が目標として合意した世界の気温上昇を産業革命以前からの2℃上昇よりも十分低い水準に抑制することを目指す、と声明で宣言している。

 

 環境・気候変動への挑戦は、金融機関と金融システム全体にとって、新たな機会でもあると同時に、脆弱性の顕在化にもつながるとの認識を共有している。リスク面の軽減と、オポチュニティ面の拡大を高められるよう、柔軟な金融監督体制をとることを目指す。

 

 また、今年7月のG20首脳会議で公表された金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報タスクフォース(TCFDF)が勧告に基づき、各国の金融機関が、適切に気候関連情報を開示できるよう支援していく、としている。

 

 注目されるのは、今回のネットワークの公表に際して、シンガポールのMASがリード役となったことと、中国人民行が名を連ねたことだ。これまで気候変動関連に対する中央銀行の行動は、英イングランド銀行を筆頭に、仏、独、オランダなどが常連として積極的な発言をとってきた。

 

 いわば、欧州中銀連合が主体だったが、今回はそれに加えて、シンガポール、中国の中銀、金融監督当局が主役格クラスで参加し、欧州・アジア連合の体制をとったことだ。そこに日銀や金融庁などの日本の金融監督機関が一切加わっていないわけだ。単に寂しいというよりも、国際的な金融政策面で日本の当局は、アジアでも劣後しつつあることを示した形でもある。メキシコ中央銀行も参加する。

 

 MASが公表した声明では「すべての中央銀行はネットワークに参加し、メンバーになることが歓迎される」とうたっており、日銀、金融庁に呼び掛けているようにも読める。


 Network members:
Banco de Mexico
Bank of England
Banque de France and ACPR
De Nederlandsche Bank
Deutsche Bundesbank
Finansinspektionen (Sweden)
Monetary Authority of Singapore
People’s Bank of China

 

http://www.mas.gov.sg/News-and-Publications/Media-Releases/2017/Joint-statement-by-the-Founding-Members-of-the-Central-Banks-and-Supervisors-Network.aspx