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世界最大の資産運用会社BlackRock、気候変動の影響の大きい投資先企業に対し、TCFD勧告に沿う気候関連財務情報の開示を求めるレター送付。投資判断変更も(RIEF)

2017-12-15 14:26:10

BlackRock2キャプチャ


  世界最大の資産保有機関であるBlackRockが、主要な投資先企業約120社に対して、事業に関する気候変動情報の開示を求めるレターを送付したことがわかった。金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が公表した勧告に沿った開示を求めたもので、投資先の情報開示の度合いに応じて、投資判断を変更する可能性がある。
BlackRockは運用資産総額6兆㌦で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産より4倍以上も多い資産をグローバルに投資している。Bloombergなどの報道によると、レターは「ビジネスが重要な気候変動リスクの影響を受ける可能性がある企業」をグローバルに選択して、送付されたとしている。
   送付された企業名は明らかでないが、対象産業はエネルギー、輸送、産業セクターなどが中心という。レターはBlacRockの投資スチュワードシップ部門のグローバル責任者であるMichelle Edkins氏の署名入りの公式の文書として送付された。
   Bloombergによると、BlackRockの投資先で、CO2排出量の多い企業は、スイスの建設素材企業のラファージュホルシム、ドイツのエネルギー企業RWE、Exxon Mobilなどとなっている。
Blackrock1キャプチャ

 

  BlackRockは、TCFDの委員にも専門家を派遣して、報告の取りまとめに力を入れてきた。またTCFD勧告を自らの事業報告等に採用することを公表した237社の宣言企業にも名乗りをあげている。今回の投資先に対するTCFD勧告に沿った気候関連財務情報の開示要求は、こうしたこれまでの取り組みを、自社の資産運用活動に反映させたものといえる。

 

 レターにおいて、TCFDの勧告を「TCFDのフレームワークは、われわれ投資家にとって、投資先の情報の比較可能性と整合性を明確にする有益な手段」と位置付けているという。

 すでにBlackRockは、今年のOccidental Petroleum CorpやExxon Mobil Corpなどの主要各社の株主総会において、気候変動関連の情報についてより詳細な開示を求める提案をしている。年初にはCEOのLarry Fink氏が、「投資先が抱える環境、社会面での長期リスクに対して、われわれは無限の忍耐を持つわけではない」と婉曲的に、これら非財務リスクの軽減を求める声明を出している。

 

https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-12-08/blackrock-wields-its-6-trillion-club-to-combat-climate-risks