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国連支援の責任投資原則(PRI) 署名機関の最低履行要件を設定。保有・運用資産の50%以上をESG運用に。履行できないと除名も。今年から実施。GPIFを含め日本の署名機関には高いハードル(RIEF)

2018-01-12 13:01:17

PRI12キャプチャ

 

 国連支援の責任投資原則(PRI)は、2000近くに増えたPRI署名機関の活動内容を律するための「説明責任ルール(Accountability Rules)」を正式に公表した。署名後に原則に沿う活動をしていない機関が少なくないことから、除名規定も整備した。最低履行要件(minimum requirements)として、資産保有と資産運用の署名機関には、運用資産総額の50%以上をESG投資に振り向けることを求める。

 

 日本の署名機関は60を数えるが、このうちいくつかは新ルールの基準を達成できない可能性もある。PRIの新ルールは、2015年から実施の方向で作業が進められてきた。http://rief-jp.org/ct6/64173 16年にシンガポールで開いた年次総会で、除名規定の導入を決めたほか、署名機関が順守すべき最低基準の設定などを詰めてきた。

 

 署名機関の大層を占める年金等の資産保有機関と資産運用機関に適用される「最低履行要件」は、①保有・運用資産の50%以上を責任投資あるいはESG要因のアプローチで投資する政策を公表する②署名機関の従業員(内部および外部委託企業も)は責任投資あるいはESG政策の実行に明確な責任を負う③責任投資の実行のための政策の明言と、説明責任メカニズムについて、同機関の管理職レベルでの監督体制の整備ーーを求めている。

 

PRI11キャプチャ

 

 こうした体制整備と運用実績について、署名機関はPRIに定期報告を求められる。報告から6週間後に、基準を満たしていないと判定されるとPRIの担当委員会から通知が送られる。改善がみられない署名機関は、「エンゲージメント・リスト」にリストアップされる。同リストは公表されないが、PRIから2年間のエンゲージメントを受ける。改善指導というわけだ。

 

 PRIの指導にもかかわらず、改善がみられない機関や、エンゲージメントの通知を送っても2年間の間に全く反応のない機関、エンゲージメントが失敗したケースなどの4つの項目に該当すると、PRI側も「さじを投げる」形で、除名(Delist)対象となる。除名となった機関はPRIのサイトで公表される。ただし、PRIの除名措置に対するアピールの手続きや、除名後の再署名規定も設けている。また自主退会の手順も設けている。

 

 PRIでは新ルールを年初から適用するとしている。日本は現在、資産保有機関が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日本生命保険など16機関、資産運用機関が33、サービスプロバイダー11の合計60機関が署名している。これまでにも、フジテレビ系の年金基金である「フジ厚生年金基金」がPRIが導入した報告フレームワークを作成できず、除名された経緯がある。http://rief-jp.org/ct4/46651

 

 新ルールの最低履行基準50%というのは、日本の資産保有機関、運用会社両方にとってかなり高いハードルだ。GPIFも昨年夏から日本株のESG指数運用を始めたが、その額は1兆円目標で、全体の運用資産総額145兆円に占める中での比率は微々たるもの。50%への引き上げは数年で達成できるレベルではない。日本のESG投資の多くが、投資先企業の株主総会等で「対話」をしたり、反対票を投じるなどのエンゲージメント活動となっている実態からいうと、今後、資産保有・運用機関の企業へのエンゲージメントが増える期待もある。

 

https://www.unpri.org/