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オランダの公的機関向け大手年金のABP、タバコ、核兵器関連投資を全額引き揚げを宣言。今後1年かけて33億ユーロの投資額を回収(RIEF)

2018-01-15 21:57:35

ABPキャプチャ

 

   オランダの政府機関や教育関係者を対象とする大手年金ABPは 、投資ポートフォリオからタバコ、核兵器工場関連の株を、今後1年かけてすべて売却することを決めた。ダイベストメント額は33億ユーロ(約4500億円)に達する。持続可能な責任投資に合致しない、との判断による。

 

 ABPは加盟者290万人、保有資産総額は4050億ユーロ。対象となるダイベストメント分は、0.8%分に相当する。ABPは、新たな投資の評価フレームワークを開発、評議委員会で了承した。

 

 ABPの投資政策理事会会長のErik van Houwelingen氏は「タバコ、核兵器関連の投資は、これまでわれわれにとって一つのジレンマだった。社会の変化は国内、国際の両レベルで進展しており、今回、除外規定の新しい評価フレームワークを開発した。タバコと核兵器製造は、もはや、われわれの持続可能な責任投資政策に一致しない」と述べている。

 

 新たな評価フレームワークでは、①投資先企業の製品が人々に有害なもの②われわれが株主として働きかけても、その事実を変更できない③その製品がなければ有害な影響がなくなる④その製品を除外する世界的な条約等があるーーの4つのクライテリアを設けている。

 

 これまで、ABPの投資したタバコ、核兵器関連企業投資は、十分な投資リターンをあげてきたという。しかし、ABPはもはや将来の流れは変わっている、と指摘。ABPはタバコ、核兵器関連の投資を引き揚げても、他の投資で十分な投資リターンをカバーできるとしている。

 

 タバコ、核兵器関連企業からの投資引き揚げは、昨年11月に豪ウェストパックの富裕層マネジメント子会社のBT Financial Group が実施を宣言したほか、カナダのOPTrustもタバコ産業向け投資からの引き上げに踏み切るなど、世界的に広がりをみせている。

 

 これらの活動で特徴的なのは、従来の対象企業へのエンゲージメントでは対応できないとして、ダイベストメントに踏み切っている点。日本のサステナブル投資では、エンゲージメントは広がりをみせているが、ダイベストメントの実施は極めて限られている。

https://www.abp.nl/images/eng_persbericht_productuitsluiting.pdf