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昨年の世界主要銀行の化石燃料関連融資、前年比11.1%増の1150億㌦。カナダのタールサンド向け融資増が影響。日本勢は融資減るも評価はほぼ最低。国際環境NGO等が分析(RIEF)

2018-03-30 07:50:11

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  環境NGOのBankTrack、シェラクラブ、RANなどは、世界の主要金融機関が化石燃料関連の投融資状況を調査した報告書をまとめた。それによると、日本の3メガバンクを含む36の主要金融機関の化石燃料関連分野への投融資額は前年より11.1%も増え、1150億㌦(約12兆2000億円)に達した。特にカナダを中心とするタールサンド開発へのファイナンスが増大した。

 

 2016年はパリ協定締結後、初の年で、15年の総額1260億㌦から1040億㌦へと17%も下がっている。その削減成果分が、17年の増加でほぼ帳消しになった形だ。環境NOGは「16年は進歩の年だったが、17年は後退の年になった」と評価している。

 

 融資額ランキング(2015~17年の融資総額)では中国建設銀行が1位で、上位10行に中国勢が4行、米銀が3行名を連ねた。日本勢は11位に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、17位にみずほフィナンシャル・グループ、23位に三井住友フィナンシャル・グループ(SMFG)と続いている。

 

上位20までの融資額のランキング
上位20までの融資額のランキング

 

 全体の融資額が増加に転じた最大の理由は、カナダのタールサンド事業の融資増だ。前年比実に111%増の470億㌦に上った。この多くがカナダのタールサンド企業が、石油メジャーのシェル、コノコフィリップ、スタトイルなどの保有タールサンド資産資産を購入するための資金を、カナダのロイヤルバンクオブカナダ(RBC)やトロント・ドミニオン銀行(TDB)などから借り入れた。

 

 両行は過去3年合計の融資額ランキングでは2位、6位だが、17年単年度の融資額だけでみると1位、3位とランクアップする。中でもRBCは17年の融資額だけで、日本のMUFGの3年間の融資額を上回る巨額の融資をタールサンドに集中させたことがわかる。また米銀のJPモルガンチェースは石炭鉱山向け融資を一気に21倍も増やし、タールサンド向け融資も4倍増で、17年融資ランクではカナダ勢の間に割って入る形の2位。中国勢を上回った。

 

 タールサンド融資で全体の化石燃料融資が増加したことを受け、報告書は「2017年のワースト10バンク」として、カナダのRBC以下4行と、JCモルガンチェースとシティの米銀2行、英HSBC、それに国内の石炭関連融資の多い中国勢3行を列挙した。

 

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 一方で、「脱炭素」を実践する金融機関も相次いだ。昨年6月、オランダのINGがタールサンド事業へのプロジェクトファンドを停止したほか、米国はKeystonXLパイプライン事業からの融資引き揚げも相次いだ。10月には仏BNPパリバが、タールサンドを含む石油・ガス向け融資の引き揚げを宣言、仏保険のAXAはタールサンド、パイプライン、新規石炭採掘や石炭火力向けの保険を引き受けない方針を打ち出した。

 

 日本の3メガバンクは、3年平均でみると、融資額は明らかに減少傾向となっている。特徴的なのは、タールサンド向けも、石炭火力、同鉱山、北極圏、深海開発などのいずれの分野においても、3メガバンクは上位ではないがほぼ顔をそろている点だ。融資額に応じた協調融資への参画の結果と思われる。ただ、石炭火力向け融資では、MUFGが5位に、みずほが8位と10位以内にランクされている(SMFGは22位)。

 

  また天然ガス輸出基地向け融資では、MUFGが3位、SMFG(8位)みずほ(9位)とそろって10位内に入っている。日本向け輸出事業へのファイナンスが中心とみられる。

 

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 報告では、各金融機関に対する評価も付けている。石炭火力や、タールサンド等6分野ごとに、A~D(±)をつけ、最悪はFと格付している。それによると、日本勢はMUFGがそのF、他の2グループはそれより1ノッチいい、D-の評価だ。

 

 ただ、日本勢への低評価については、いささか疑問も残る。先にあげたように、3年平均でみると日本の3メガバンクの化石燃料関連融資は低下を続けている。にもかかわらず、CO2排出量の多いタールサンド向け融資を急増させたJPモルガンチェースはD+、カナダ勢もD、D+などと1~2ノッチ分、日本勢よりいい評価となっている。

 

 日本勢のアピール不足、NGOとの対話不足によって、十羽ひとからげでの評価を受けている可能性もある。環境NGOとのエンゲージメント活動の差が、微妙に響いている風にもみえる。

 

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