HOME10.電力・エネルギー |「インドネシアでは石炭より地熱発電が似合う」同国最大の地熱発電会社が、初の企業発行グリーンボンドで5億8000万㌦調達。主幹事は欧米勢中心。同国で石炭火力に融資する日本勢は存在感なし(RIEF) |

「インドネシアでは石炭より地熱発電が似合う」同国最大の地熱発電会社が、初の企業発行グリーンボンドで5億8000万㌦調達。主幹事は欧米勢中心。同国で石炭火力に融資する日本勢は存在感なし(RIEF)

2018-04-26 22:59:03

Indonesia1キャプチャ

 

  インドネシア最大の地熱発電会社「 Star Energy Geothermal(Wayang Windu:SEGWW) 」は、国内の他の2カ所の地熱発電所を買収した資金のリファイナンス資金調達などのため、グリーンボンドを24日に発行した。インドネシアで民間企業がグリーンボンドを発行するのは初めて。発行額は5億8000万㌦、期間15年、クーポン・レートは6.75%。SEGWWには三菱商事が出資をしている。

 

 (写真は、SEGWWが操業する西ジャワ州での地熱発電所)

 

  SEGWWは2017年3月、米メジャーのシェブロンが開発したSalakとDarajatという2つの地熱発電所を、フィリピンのアヤラ・グループ系のACエネルギー、タイのThailand Electricity Generating PCL (EGCO) とコンソーシアムを組んで、23億㌦で買収している。SEGWWは、この買収資金の一部は通常の債券発行で、残りは銀行融資でファンディングしてきた。

 

 銀行からの借り入れは、DBS銀行による協調融資団から買収資金を含めて6億6000万㌦の融資を受けていた。期間は5年で、さらに5年の延長が可能だったが、金利は変動金利。これを固定金利のグリーンボンドに切り替えることで、15年間の長期安定した資金調達が可能になり、事業展開を拡大しやすくなる、と判断したとみられる。ボンドは最初の8年間は売却据え置きの条件付き。

 

 同社初のグリーンボンドの販売主幹事は、英バークレイ・キャピタル、シンガポールDBS銀行のロンドン拠点、ドイツ銀行証券、マレーシアのMaybankのKim Eng Securities Pte Ltd。インドネシアで石炭火力発電事業に積極的に融資をしている日本の3メガバンクの名前はない。

 

 バークレイズ・キャピタルとドイツ銀行証券は、同ボンドのグローバルコーディネーターも務める。 債券には、Moody’がBa3、FitchがBB-の信用格付を付与している。グリーンボンドのフレームワークは、Carbon Trust Assuranceが認証した。

 

 SEGWWは現在、西ジャワ州の Pengalenganといううところで、2つの地熱発電を行っている。一つは2000年に稼働した110MWの発電能力を持ち、もう一つは2009年に稼働した117MWの設備だ。いずれも政府の電力会社PLNとの間で長期売電契約を結んでいる。契約電力量は400MWで余裕があることから、買収したSalakとDarajatの地熱発電の発電能力増強を目指している。

 

 SEGWWにはThe Star Energy Groupが60%を出資している。残りは、Thailand Electricity Generating PCL (EGCO) と三菱商事が20%ずつ出資している。 

 

http://www.thinkgeoenergy.com/star-energy-completes-580m-green-bond-offering-to-fund-chevron-geothermal-acquisitions/

https://businessinsight.kontan.co.id/news/star-energy-geothermal-wayang-windu-menerbitkan-green-bond-us-580-juta