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グローバル保険最大手の独・アリアンツ、2040年までに保険引き受け、資産投資の両面で石炭関連企業を完全除外へ。契約・投資先企業に「脱石炭」を促す(RIEF)

2018-05-06 12:57:03

Allianz2キャプチャ

 

  保険最大手のドイツ・アリアンツ(Allianz Group)は、2040年までに同社が提供する保険契約と投資の両方を、パリ協定に基づく「2℃目標」と整合させると同時に、石炭火力関連への保険提供、投資を撤退する目標を公表した。石炭ビジネスからの撤退も、アリアンツ自らの投資と保険契約の両方を対象とし、新規の石炭関連鉱山ビジネス等への保険提供は直ちに停止、既存の保険についても保険契約更新を減らす。

 

 グローバル保険大手の脱石炭宣言としては、昨年4月に、仏アクサが先鞭をつけた。同社は同年末には、対象の石炭関連会社の売り上げ・発電量比率を強化している。また、スイスのチューリッヒ、イギリスのLloyd’s なども脱石炭方針で追随。今回、最大手のアリアンツの宣言で、欧州の保険業界の脱石炭の足並みが出そろった。http://rief-jp.org/ct6/69590

 

 アリアンツは今回の宣言で、2040年までに保険ビジネスにおける石炭リスクから完全に脱却することを目指す、としている。保険契約面では、化石燃料だけでなく再生可能エネルギー等、複合的なエネルギーポートフォリオを抱える企業に対しては、企業レベルでの保険契約は継続される見通しだが、ESGクライテリアに基づく見直しを受けることになる。

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 機関投資家としての投資戦略では、「2℃目標」に反する石炭火力発電事業の新増設に関した投資は直ちに停止する。長期的には、収入や使用エネルギーの主要な部分が石炭火力等でまかなわれている企業に対する投資については、現行の投資資産全体の30%から段階的に5%ずつ引き下げて、2040年にはゼロとする。「われわれの長期目標は、投資ポートフォリオを完全に気候変動に対して中立とすることだ」としている。

 

 アリアンツはこうした脱カーボン戦略の推進に際して、保険契約先、投資先の両企業に対して、「長期気候保全目標」の立案を求めるDialogue(対話)を通じて進める方針という。その際も、国連のグローバルコンパクトとWWFによるScience Based Targets(SBT)(科学と整合した目標設定)や、仏気候NGOの2°Investing Initiative(2°II)の協力に基づくデータ・モデル分析を活用、企業側に自らの変身を求める。2°IIの協力に基づくデータ・モデル分析は、今年末には稼動する見通し。

 

 アリアンツの責任投資とESGの責任者である理事会メンバーのDr. Günther Thallinger氏は「今回のわれわれのアプローチは、長期的なポートフォリオのリスク・リターンをさらに改善すると確信している。フォワードルッキングな投資家としてのわれわれのポジションを強化するだろう」と強調している。

 

 同氏はさらに、「われわれはこうした活動を顧客とともに進め、気候に優しい経済社会へ変化を作り出すことを望んでいる。さらに、新たな技術に基づいて低炭素社会への移行に伴う新たな投資機会を戦略的に展開していく」とも付け加えた。

 


 アリアンツの脱石炭宣言は、欧州の環境NGOらから評価を得ている。「Unfriend Coal」は、「石炭産業への保険提供を減らし、投資対象からも除外する動きは、重要なステップだ。だが、2040年という目標年をもっと前倒しすべき」と、評価と注文を付けている。