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世界銀行等、6つの国際公的金融機関の気候関連資金供給、2017年は前年比28%増と大きく伸び、過去最高の352億㌦(約3兆8000億円)に達する(RIEF)

2018-06-18 08:42:39

MDB1キャプチャ

 

  世界銀行や地域の国際開発銀行など6つの国際公的機関(MDBs)が2017年に提供した気候関連の資金規模が、前年比28%増と大きく伸びて過去最高の352億㌦(約3兆8000億円)に達した。このうち、温室効果ガスの排出削減のための太陽光や風力発電などの緩和事業が279億㌦と約8割と大半を占めた。

 

 緩和事業以外の残りの資金74億㌦は、主に途上国での豪雨・洪水対策、干害対策等の適応策に投じられた。対象となったMDBsは、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州投資銀行(EIB)、米州開発銀行グループ(IADBG)、世界銀行グループ(世銀、国際金融公社、MIGA)。2016年の合計資金量は274億㌦だった。

 

 最も多く資金を供給したのは、世銀グループで全体の37%に相当する132億㌦。次いで欧州投資銀行の15%、54億㌦、アジア開発銀行の14.8%、52億㌦が続く。

 

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 352億㌦の総額のうち、81%はローンで融資された。他の金融手段としては、政策ベース・ローン、贈与、信用供与、株投資、クレジットラインの設定なども活用された。資金の供給がもっとも多かったのは、中南米、アフリカのサブサハラ地域、それに東アジアと太平洋地区の3地域となっている。

 

 またMDBsの資金供給と連動する「共同ファイナンス」の形で、民間の国際開発銀行等が昨年1年間だけで517億㌦を緩和、適応事業に投じたという。

 

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 2017年の資金供給額が急増したのは、昨年12月にパリでパリ協定締結2周年を記念するOne Planet Summitが開かれるなど、各国の政策的後押しが大きかったとみられる。MDBsが気候変動関連の投融資に力を入れ始めたのは2011年からだが、2015年のパリ協定を踏まえて、MDBsと民間の開発金融機関等が、気候変動の緩和策、適応策を推進する共同原則を採択している。

 

 これらのMDBsの資金供給とは別に、国連等に設けられた気候投資ファンド(CIF)、緑の気候基金(GCF)、グローバル環境基金(GEF)などの複数の気候関連資金供給ファンド等も途上国への資金供給のパイプ役になっている。

 

 https://www.adb.org/news/mdb-climate-finance-hit-record-high-352-billion-2017