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国際協力銀行(JBIC)、再生可能エネルギーなどに優遇金利で貸す「質高インフラ環境成長ファシリティ」立ち上げ。石炭火力発電向け融資は3メガバンクより「緩め」の基準を継続(RIEF)

2018-06-28 15:29:02

JBICキャプチャ

 

  国際協力銀行(JBIC)がサステナブルファイナンス分野で、評価相半ばする動きを打ち出している。再生可能エネルギー事業などへの融資に優遇金利を適用する「質高インフラ環境成長ファシリティ」を7月に立ち上げる一方で、インドネシアなどで展開する石炭火力発電事業については、「石炭が全部悪い訳ではない」(前田匡史総裁)として、石炭火力向け融資にも力をいれる姿勢を強調している。

 

 3メガバンクは最近、そろって融資対象の石炭火力発電事業は、CO2排出量が既存の者よりも相対的に少ない超々臨界圧石炭火力(USC)に限定する方針を打ち出した。環境NGOなどはそれでも不十分との見方だが、JBICはUSCよりCO2排出量の多い超臨界圧石炭火力(SC)への融資継続を強調した。

 

 新たに導入する再エネ等を支援する新融資ファシリティは、「地球環境の保全につながる社会基盤の整備を資金面から後押しする」(JBIC)ことが狙いとしている。対象事業は途上国での再エネ導入のほか、都市交通の渋滞緩和に資する公共交通機関の整備、大気汚染の防止などの事業としている。これらの事業への融資に際して、通常より低い金利で融資する。また借り手側からの温暖化ガス削減事業の報告の手間を一部省くなどの負担軽減策も実施する。

 

 ただ、同制度は2021年6月末までの3年間の時限措置とする。民間金融機関などとの協調融資を原則とし、JBICが総額の6割を上限に融資する仕組みだ。ESG投資が世界的に注目される中で、「(鉄道など)伝統的なインフラより、グリーンモビリティーやスマートシティーなどの新しい時代の価値を創造できる分野にしたい」と強調している。

 

 一方、石炭火力融資については、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの主要メガバンクがそろって超々臨界圧(USC)方式への融資に限定する方針を定めた。これに対して今月21日に就任したJBICの前田総裁は「石炭が全部悪い訳ではない」として、現在、ベトナムやインドネシアで進めている超臨界圧方式(SC)も進める姿勢を改めて述べた。

 

 前田総裁は、その理由として、CO2回収・貯留(CCS)や石炭ガス化複合発電(IGCC)を例示し、「既にある技術を高いレベルに誘導する」と、石炭火力発電の技術開発の指導を進める考えを示した。

 

 JBICは、2018年4月13日にSC方式のベトナム・ギソン2石炭火力発電所事業(タインホア省ギソン地区。600MW×2基)への融資を決めたほか、インドネシアの西ジャワ州のチレボンでも、地元の反対が強い環境の中で、日本の官民協調によるチレボン石炭火力拡張計画を推進、世界40カ国の171の環境NGOや住民団体から、「公的融資でCO2排出量を増やさないで」との国際要請を受けている。

 

 https://www.jbic.go.jp/ja/