HOME6. 外国金融機関 |格付機関Moody's 今年のグローバル市場のグリーンボンド発行額の推計値を、年初より下方修正。1750億~2000億㌦に(RIEF) |

格付機関Moody's 今年のグローバル市場のグリーンボンド発行額の推計値を、年初より下方修正。1750億~2000億㌦に(RIEF)

2018-08-04 21:51:00

Moody'sキャプチャ

 

 米格付機関のMoody’s Investors Serviceは、今年全体のグリーンボンドの発行推計を当初予想の2500億㌦から、1750億~2000億㌦へと下方修正した。上半期の発行額が前年同期比7%増の767億㌦とモデレートな伸びにとどまったため。ただ、予想の下方値でも前年より8.7%増、上方値だと24%増と安定的な伸びになる。

 

 今年上半期の発行額については、推計機関によって総額は微妙に異なる。Moody’sは760億㌦としているが、Environmental Financeは872億㌦、Climate Bonds Initiative(CBI)は767億㌦としている。これは中国などの緩いガイドラインに基づくものを「グリーン」とカウントするかどうかの判断で異なっているものと思われる。

 

 年初、Moody’sは今年の伸び率を前年比5割強に相当する2500億㌦と予想していた。しかし、上半期の伸び率が一ケタ台にとどまったことから。比較的、手堅い評価をとるMoody’sは「今年の下半期は、上半期よりも発行が増えるとみているが、下半期の発行分だけで、当初予想の未達分をカバーできるとは思えない」(アナリストの Matt Kuchtyak氏)と評している。

 

 年間を通じてのグリーンボンド発行がモデレートになる要因として、世界的な金利上昇傾向を指摘している。金利の上昇は債券市場全体に影響する。また、国連の持続可能な目標(SDGs)への民間の取り組みが徐々に表れてきたことなどから、社会面等での資金調達手段としてのソーシャルボンド、サステナビリティボンドの発行が増えていることも、グリーンボンド一辺倒のこれまでのESG債市場に変化を生じさせつつあるとの見方もある。

 

 一方で、欧州で普及しているカバードボンドのグリーン版が今後、増える期待もある。インフラ投資のファイナンスを主とするグリーンカバードボンドは幅広い自治体等による発行が期待できる。Moody’sも「グリーンカバードボンドは、通常のグリーンボンドよりも伸び率が高くなるだろう」(Kuchtyak氏)とみている。

 

 フランスやベルギーなどが先鞭をつけたグリーンボンド国債についても、パリ協定に沿った温暖化対策を国主導で推進していくうえで、今後も安定的な発行が期待される。ただ、Moody’sはグリーンボンド国債に組み込まれる個々のグリーンプロジェクトへの資金使途のフォローや、一般財源との明確な分離運用等の仕組みを確実に築けるかどうかが課題、としている。日本の財務省も本気で検討してもらいたい。

 

https://www.moodys.com/login.aspx?lang=en&cy=global&ReturnUrl=https%3a%2f%2fwww.moodys.com%2fviewresearchdoc.aspx%3fdocid%3dPBC_1122436%26lang%3den%26cy%3dglobal