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ドイツ・ミュンヘン再保険、化石燃料産業への投資引き揚げ基準(Divestment)を強化。売り上げの30%以上が関連する企業は対象外に。気候変動改善技術のある企業向け投資は強化(RIEF)

2018-08-08 23:06:20

munich2キャプチャ

 

 ドイツの再保険大手のミュンヘン再保険(Munich Re)は、同社が実施している化石燃料関連産業への投資引き揚げ(Divestment)基準を、現行より厳しくする新たな気候変動政策を実施すると公表した。同社はこれまで、売り上げに占める化石燃料関連収入が50%以上の企業をDivestmentの対象としてきたが、今後は 30%以上と厳しくする。

 

 同社のCEO、Joachim Wenning氏が、ドイツ紙「Frankfurter Allgemeine Zeitunghas」への寄稿記事で明らかにした。同じドイツのAllianzや、スイスのスイス再保険(Swiss Re)などがすでに30%基準を導入しており、それに比べてミュンヘン再保険の基準の緩さが指摘されていた。

 

 調査会社のProfundoが2017年5月に公表したデータによると、ミュンヘン再保険の投資資産271億㌦のうち、少なくとも約8%に相当する22億㌦分が 石炭関連を中心とした化石燃料関連産業に投じられていた。

 

 Joachim Wenning, CEO of Munich Re
Joachim Wenning, CEO of Munich Re

 

 記事の中でWenning氏は「新規の石炭火力発電は建設後、長期間にわたって操業することになり、パリ協定で合意した2℃目標に適合しないのは明らかだ。したがって我々は、新基準に合致しない企業の株も債券にも投資しない」と指摘した。また、保険引受業務にも同様に30%基準を適用するという。

 

 さらに同氏は「一般的な言い方だが、リスクを明確化する任意再保険のリスクビジネス企業として、われわれは先進国市場においては新たな石炭火力発電や石炭採掘の保険は引き受けないだろう」と述べた。ただ、「すでに取引がある顧客や、新興国などでは、個々のケースバイケースの例外はあり得る」と言及し、例外適用の場合のクライテリアを整備しているとした。

 

 一方で、同氏は、今後の重要投資分野として気候変動に貢献する技術開発を促進する事業等をあげている。「仮に石炭事業からわれわれすべてが退出しても、気候変動は直ちに改善しないだろう。したがって、われわれは新規の気候改善技術の開発等に力を入れていく」と語った。

 

 欧州で石炭追放キャンペーンを展開している NGOの「Unfriend Coal」の欧州コーディネーターのLucie Pinson氏は、「ミュンヘン再保険の新政策が今後、実施に移される過程をしっかり監視する必要がある。同社は、グローバル市場での重要な再保険会社の一つであり、特にアジア市場での影響力が大きい。例外適用のクライテリアの運用を監視する」としている。

 

https://www.munichre.com/en/homepage/index.html