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欧州のサステナブルファイナンスのキーパーソンだったAXAのThimann氏、ドイツの新興の保険ビジネス会社会長に転出。HLEG、TCFD等のまとめ役を歴任(RIEF)

2018-08-09 15:53:06

Thimannキャプチャ

 

   欧州委員会のサステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ(HLEG)の議長や、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の副議長などを務めた、Christian Thimann氏が、所属していた仏保険大手のAXAのシニア・アドバイザーの座を離れて、ドイツの新興保険関連会社のAthora の会長に就任した。

 

 Thimann氏はAXAの会長直属のシニア・アドバイザーとして、欧州のサステナブルファイナンス分野のキーパーソンとして活躍してきた。HLEG、TCFDでの取りまとめ役のほか、国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)の共同議長なども務めてきた。

 

 HLEGもTCFDも、報告書の取りまとめの役割は終わり、それぞれ政策への反映が求められる段階に移行している。その意味で、同氏が担った役割は一段落したともいえる。元々、ドイツ出身で、新興のAthoraに引き抜かれた形でもある。サステナブルファイナンスの政策立案の重責から離れ、しばらくはビジネスで稼ぐということか。AXAはThimann氏の代わりのアドバイザーは置かない方針という。

 

 Thimann氏は、ドイツの大手コンサル、ローランド・ベルガーのコンサルタントを経て、国際通貨基金(IMF)エコノミスト、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁のアドバイザーなどを歴任している。保険分野についても、Paris School of Economicsで最近まで「保険と金融」の講座を持っていた

 

 Athoraは、2014年設立の新しい企業で、米保険関連会社のAtheneからスピンアウトした企業。主な業務は保険会社向けに、企業買収、ポートフォリオ売買、再保険、資本増強などのサービスを欧州市場に提供することとしている。バミューダに本拠を置き、保険子会社をドイツのWiesbadenと、アイルランドのダブリンに、再保険子会社をバミューダに、それぞれ設けている。2018年3月末の総資産は100億ユーロ、従業員数は400人を越えているという。

 

 短期間での資産の増大は、買収による。今年4月に、Aegonのアイルランド事業を約1億9500万ユーロで、Generaliのベルギー事業を4000万ユーロでそれぞれ買収している。Atheneとは現在も連携関係にある。というよりもAtheneの欧州市場戦略を担う形でもある。

 

https://www.athora.com/