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オーストラリアとニュージーランドの金融界が、サステナブルファイナンスのロードマップ作りを宣言。EUのHLEGプログラムのANZ版を目指す(RIEF)

2018-08-10 12:28:44

ANZキャプチャ

 

  オーストラリアとニュージーランドの銀行、保険、投資業界は共同で、「サステナブルファイナンスのロードマップづくり」を宣言した。欧州委員会の「サステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ(HLEG)」が今年初めに公表した報告と同様の枠組みを整備し、両国(ANZ)版のHLEGを目指すという。

 

 「ANZ版HLEG」を目指すのは、両国の金融界で合計10兆豪㌦(約820兆円)の総資産額を保有する。声明に参加したのは、国連支援の責任投資原則(PRI)や、オーストラリア気候変動投資家グループ(AIGCC)、オーストラリア責任投資協会(RIAA)に参加している各金融機関。

 

 声明では、各金融機関は、両国の主要な金融機関だけでなく、政府、規制当局、消費者、市民団体などに呼び掛け、両国におけるサステナブルファイナンスのロードマップを開発する作業を開始する、としている。ロードマップの目標には①サステナブルな開発目標に対する金融界の長期目標を設定②強靭で持続可能な経済を支援するための各金融機能のオポチュニティの設定、など4項目を掲げている。

 

 また、サステナブルファイナンスのプログラムを構築することは、国際的な規範でもあり、欧州のHLEG、英国のGreen Finance Taskforceなどの取り組みと整合する、と位置付けている。

 

 
 オーストラリアでは先月後半、シドニーで、国連環境計画(UNEP)の金融イニシアティブ(FI)の会合が開かれた。同会合の成果を踏まえて、両国の主要金融機関が共同声明をまとめた。金融機関がサステナブルファイナンスに向けたロードマップを明確にすることで、持続可能な経済社会への移行のプロセスに、金融がよりシステマチックに貢献することが可能になる、としている。

 

 UNEP FIの代表Eric Usher氏は「オーストラリアとニュージーランドの金融界が、サステナブルな発展のために金融が果たす役割についてのロードマップ作成に向けて明確なシグナルを示してくれた。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた投融資のサステナブルなフレームワーク作りを目指す国々が増えることは、世界経済を強靭化し、低炭素化へシフトさせるうえで重要だ」と評価している。

 

 両国の金融界がモデルとする欧州委員会のHLEGは
今年1月に報告書を公表、それを受けて欧州委員会は10項目からなる「サステナブルファイナンス金融行動計画(Sustainable Finance Action Plan:SFAP)を策定、現在は、EUとして法制化する作業に取り掛かっている。主な柱は、サステナブルファイナンスのフレームワーク(タクソノミー)づくりのほか、EU独自のグリーンボンド基準、受託者責任(FD)の法制化などを盛り込んでいる。

 

 サステナブルファイナンスのフレームワークづくりでは、欧州委員会のほか、英国、カナダ、ノルウェーなどが国際的な金融連携を意識した方向性を示している。また英国は別途、国際標準化機構(ISO)での規格化を提案中だ。オーストラリアとニュージーランドの金融界はそうした国際的な潮流をとらえて動き出したことになる。

 

 日本では最近になって、環境省のESG金融懇談会が、ESG金融普及の提言をまとめている。ただ、サステナブルファイナンスと呼ばずに「ESG金融」という日本流の呼び名を付けた点に、国際的な潮流と歩調を合わせていこうとするオーストラリアなどのスタンスとの微妙な違いをうかがわせる。

 

 またオーストラリアの年金等やAIGCCなどの2兆豪㌦の総資産を保有する投資家グループは、同国政府に対して政府の「国家エネルギー補償制度」の見直しを要請した。同制度がパリ協定で同国が公約した国別削減目標(INDC)と整合性が取れていない、との批判だ。日本のエネルギー基本計画にも共通する課題といえる。

 

https://responsibleinvestment.org/

https://igcc.org.au/wp-content/uploads/2018/07/24-July-2018_Finance-sector-commits-to-working-together-to-develop-Sustainable-Finance-Roadmaps-for-Australia-and-New-Zealand.pdf