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世界銀行、ブロックチェーン技術を応用した初の「サステナブル・ブロックチェーンボンド」発行へ。調達資金は全額、SDGs向け事業に投入(RIEF)

2018-08-12 08:54:03

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  世界銀行がブロックチェーン技術を応用した、世界初のサステナブル・ブロックチェーンボンドを発行する。調達資金は全額、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に活用するため、サステナブルボンドに分類されるとしている。発行額は豪ドル建てで5000万㌦から1億㌦の範囲で、償還期間等も未定だが、数週間中に決定するという。

 

 債券の名前は「Blockchain Offered New Debt Instrument」あるいは「bond-i」と呼ばれる。世銀の最高情報責任者(CIO)Denis Robitaille氏は「技術主導による経済発展への各国の移行を促進させることは、貧困を減少させ、持続的な発展を促すことを目指すわれわれの目標達成のカギとなる。今回のブロックチェーンボンドはSDGs達成に向けたわれわれの取り組みのマイルストーンだ」と自賛している。

 

 ブロックチェーン技術を金融取引に使うことで、これまで決済に必要だったT+2(2営業日)決済は、T+minutes(ほぼ即時決済)に縮小が可能となる。その結果、取引の安全性と確実性が確保される。ボンドは、世銀とオーストラリアの「Commonwealth Bank of Australia(CBA)」が運営するブロックチェーン・プラットフォームに基づいて発行、取引される。

 

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  ボンドの発行、取引、管理等のデータは発行期間中、ブロックチェーンの分散台帳技術(DLT)によって制御される。ただ、仮想通貨に当たるトークンへのオーストラリアでの10%の商品・サービス課税を回避するため、支払いは現在のSWIFTシステムを経由して行われる予定という。

 

 システムの構築には、世銀とCBAのほか、米金融グループのNorthern Trust、 オーストラリアの保険グループのQBE、 ビクトリア州の金融当局(Treasury Corp of Victoria: TCV)も初期段階から参画している。

 

 世銀の資金調達責任者であるAndrea Dore氏は「今回のボンド発行では金額や期間は重要ではない。われわれの目的は、ブロックチェーン技術を現在の市場でのボンド発行に適用することにある。投資家に同技術による安全な取引環境を学ぶ機会を提供するることにある」と述べている。

 

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  ブロックチェーンを使ったボンドとしては、民間企業のダイムラーベンツが昨年8月に、ドイツ債券市場でパイロット発行を実施したほか、ドイツの復興金融公社(KfW)も同9月に、DLTを使ったユーロ建てコマーシャルペーパーを発行している。

 

 今回、世銀と連携するCBAは昨年1月、自らのプラットフォームを活用してクィーンズランド州の財務当局と実験的な発行を行っている。世銀では、こうした各地での実験的な取り組みを踏まえ、今回のボンドは本格的なブロックチェーンボンドの第一号になるとしている。

 

 ただ、ブロックチェーンボンドが取引の安全性の向上や大幅なコスト削減に貢献するかどうかについての見方は、金融界でも意見が分かれている。

 

https://www.nasdaq.com/article/world-bank-lines-up-first-blockchain-bond-20180810-00559