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豪最大手銀行の「ナショナル・オーストラリア・バンク(NAB)」、初のSDGグリーンボンド発行へ。民間金融機関のSDRボンドとしては英HSBCに次ぐ。今週中に発酵額確定(RIEF)

2018-08-27 08:26:17

NAB2キャプチャ

 

 オーストラリア最大の資産規模を誇るNational Australia Bank (NAB)は、ユーロ建てのSDR貢献のグリーンボンド「SDRグリーンボンド」を発行する。SDRボンドは民間金融機関では英HSBCが昨年11月に発行しており、それに次ぐものとなる。現在、投資家との調整交渉に入っており、発行額等は明らかでないが、月内にも条件等を確定する。

 

 SDRボンドの市場基準は現時点ではない。このため、NABでは英非営利団体Climate Bonds Inititative(CBI)のClimate Bonds Standards(CBS)に準拠することで、グリーンボンドとしての適合性を確保したうえで、自ら「SDR」関連事業への資金使途を宣言する「自己ラベル型」とする方針。

 

  HSBCが昨年11月に発行したSDR債は、大手国際金融機関に課せられるTLAC(総損失吸収力)規制への対応として10億㌦分を発行した。同ボンドはグリーンボンドの国際基準であるグリーンボンド原則(GBP)に準拠した。http://rief-jp.org/ct6/74712 国際公的金融機関では世界銀行がSDGボンドを発行している。

 

 NABはこれまで、CBS準拠のグリーンボンドを5本、総額19億豪㌦(約1550億円)分発行している。今回のSDRボンドの発行額は不明だが、期間は5年債になる見込み。信用格付はMoody’sからAa3、S&PからAA-をそれぞれ取得する見込み。主幹事にはBNPパリバ、Citigroup、UBSそれにNABも自ら参加する。NABはアレンジャーにもなる。

 

NAB1キャプチャ

 

 同ボンドのフレームワークによると、調達資金の使途は、CBSの必要条件を満たしたうえで、SDRの17の目標のうち、SDG2(飢餓の撲滅)、SDG11(持続可能な都市とコミュニティ)、SDG12(責任ある消費と生産)、SDG15(陸上生態系の保護・回復)のそれぞれの目標に適合する事業としている。

 

 NABは2015年9月に、2022年までの7年間で、低炭素経済社会への移行を支援するため、総額180億豪㌦(1兆4600億円)の環境金融活動の展開を打ち出した。その資金調達としてグリーンボンドを位置付けてきた。2017年11月時点の中間見直しの際、資金使途額を当初より3倍増の550億豪㌦(約4兆4800億円)に増やすとともに、期間を2025年に延長した。

 

 増額した総額の内訳は、200億豪㌦分を、グリーンインフラ事業や、グリーン関連の資本市場業務、資産運用等に充当、350億豪㌦は、オーストラリア国内で6星の省エネ基準を得ている住宅向けのモーゲージローンの提供に振り向ける予定という。

 

 またNABは自らの使用電力に占める再生可能エネルギー電力比率を現行の10%から、2025年には50%にまで拡大する予定。TCFDに沿ったカーボンリスクの情報開示でも、国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)のパイロット計画に参加、積極的な取り組みを展開している。

 

 今回発行するSDGグリーンボンドは、こうしたNABのグリーン、低炭素化、社会改革等への投融資活動資金を調達することになる。発行するボンドはすべてCBIのCBS準拠の認証を得る予定。またSDGsの目標との整合性を確認するため、セカンド・オピニオンを取得、検証は毎年、年次検証報告(Annual Verification Statement)を公表するという。

 

https://capital.nab.com.au/docs/NAB_SDG_Green_Bond_Framework.pdf