国連支援の責任投資原則(PRI)によると、PRIに署名した年金等の機関投資家、465機関が実施している責任投資の総額は1兆3000億㌦(約144兆3000億円)に上ることがわかった。2014年の調査(8000億㌦)に比べると6割増となった。責任投資規模としては、 Global Impact Investing Network (GIIN) が209の主要投資家の責任投資額を1140 億㌦とした調査の10倍以上の規模になる。
調査は、PRIの「Impact Investing Market Map(責任投資市場地図)」で2016年時点の投資額をまとめた。Mapは、通常のメインストリーム投資と、責任投資のギャップを埋めることを目指して行われた。また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する民間資本の可能性を把握する狙いもある。
2014年の調査は対象機関280で8000億㌦だった。2年で6割以上も増加したことになる。またGIINの推計データを大幅に上回った理由としては、GIINは責任投資の算定に際して、投資による「影響評価」の把握を重視してきた。これに対して、PRIのMapは、必ずしも影響評価が明確でなくてもいいとしたほか、規模の大きい上場企業や大規模な非公開企業なども含めたためという。データはMSCIとFTSEのデータを活用した。
PRIのMapをまとめたInvestment Practices & Engagements部門責任者のKris Douma氏は「人々は、責任投資はまだニッチな市場だと思っているようだが、『ニッチ』の言葉は返上しなければならない。投資家は世界をポジティブな方向に創り返ることのできる、従来より幅の広い視点を備えている」と指摘している。