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欧州投資銀行(EIB) 初のサステナビリティボンド(SAB)発行へ。SDGsにも貢献。第一弾は5億ユーロ。定期発行でサステナビリティボンド市場の育成目指す(RIEF)

2018-09-08 18:03:08

 

   欧州投資銀行(EIB)は同行として初のサステナビリティボンドを発行する。「サステナビリティ・アウェアネス・ボンド(Sustainability Awareness Bond :SAB)」で、第一弾として5億ユーロ発行する。EIBはグリーンボンドを初めて発行したことで知られる。新ボンドの資金使途は気候変動関連のプロジェクトにとどまらず、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標の少なくとも一つには貢献することを目指す。

 

 ボンドは7年もので、クーポンレートは0.375%。資金使途は、飲料可能な水資源対策のほか、廃水処理や廃棄物処理資源の扱い、洪水保護計画など。ボンドの価格は、ミッド・スワップレートでー20bps。

 

 EIBは2007年にグリーンボンドの第一号となるクライメート・アウェアネス・ボンド(CAB)を発行した経緯がある。その後も定期的にCABを発行、グリーンボンド市場の形成を後押ししてきた。

 

SAB1キャプチャ

 

 今回のSABは、基本的にCABの枠組みをベースとする。加えて、調達資金の使途はCABの気候関連プロジェクトだけでなく、社会的要因や気候変動以外の環境分野の資金供給も予定している。SDGsの目標分野に照準を合わせている。

 

 引き受け主幹事は、Bank of America Merrill Lynchのほか、 Commerzbank、 UniCredit、 Credit Agricole、SEBが務め、BNP Paribas、 DEKA、 DZ Bank。 HSBC。Natixisがそれぞれ副主幹事となる。ESBを目指す投資家の中には、オランダの資産運用機関のActiam  PGGM も含まれる。

 

 今回の第一弾に続けて、数カ月以内に、健康、教育、持続可能で強靭な都市づくりなどを資金使途とする第二弾を発行する予定だ。EIBは発行するサステナビリティボンドはすべて、国際資本市場協会(ICMA)が管理するグリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBG)に適合するとしている。

 

 EIBの投資関係担当のIrene Sanchez Aizpurua,氏は、対象事業を分野ごとに選択する「モデュール・アプローチ」を活用し、SABの発行量を今後、これまでのCABと同等規模まで拡大していくと説明している。EIBはこれまでCABを累積で328億㌦を発行している。このうち48億㌦は今年に入ってからの発行だ。グリーンボンドの発行量では、EIBは米国のファニー・メイに続く世界第二位の位置にある。

 

 CABの発行額は今後も引き続き年間40億㌦ペースを維持する方針だが、今後のCABの新規発行プログラムは再生可能エネルギーや省エネ等の気候変動対策だけでなく、より幅の広い環境分野に投じていく方針という。

 

 こうした資金使途の拡大に対応して、投資家の信頼を得るためには、より厳格な適格性の確認と、投資内容の総合的なレポーティング・クライテリアの整備を進めていくとしている。また、対象事業については、EU以外の地域については、CABの場合の10%を海外事業としてきたが、SABではSDGs対応などで海外比率を引き上げることになる。

 

 EIBはSABの投資家は、CABよりも多様化するとともに、対象事業についても、CABがグローバルな気候関連事業となってきたが、SABはSDGs関連で、よりローカルな事業が組み込まれるとしている。

 

 サステナビリティ関連の資金使途は、気候関連に比べて、資本市場での評価に課題があるとされる。定量化が容易でないほか、政府の政策が大きく影響するからだ。EIBはそうした課題克服に資するため、SABを定期的に発行してセカンダリー市場の流動性を高めることで、サステナビリティボンド市場の育成を目指すとしている。

 

 現在、欧州委員会がサステナブルファイナンスの対象事業のタクソノミー(分類)整備を進めており、来春にそうした概要が公表されると、SABの対象事業の基準についても見直す方針だ。

http://www.eib.org/en/index.htm

http://www.eib.org/en/stories/sustainability-awareness-bonds.htm