HOME6. 外国金融機関 |欧州排出権取引制度(EU-ETS)のカーボンクレジット(EUAs)価格が急落。制度発足以来、一日当たり最大の下げ幅に。ノルウェーでの電力取引での損失表面化を反映(RIEF) |

欧州排出権取引制度(EU-ETS)のカーボンクレジット(EUAs)価格が急落。制度発足以来、一日当たり最大の下げ幅に。ノルウェーでの電力取引での損失表面化を反映(RIEF)

2018-09-14 22:18:09

EEXキャプチャ

 

 EUの温室効果ガス排出権取引制度(EU-ETS)の排出権(EUAs)価格が13日、一日の下げ幅としては制度発足以来の最大の約4ユーロ(約520円)も下落した。ノルウェーの著名投資家がクレジットを含めた電力価格の裁定取引で大損を出したことが発覚し、市場でクレジット取引への嫌気が広がったとみられる。

 

 ドイツのエネルギー取引所であるEEXでのEUAsのスポット取引価格によると、今週初め10日にはクレジット価格は1㌧当たり25.29ユーロ(終値ベース)だった。それが、11日に24.13ユーロ、12日は22.80ユーロと、一日当たり1ユーロ前後の下落を続けた後、13日は一気に18.90ユーロまで下がった。

 

 EU-ETSは2006年に取引を開始しており、一日当たりの下げ幅が4ユーロとなったのは初めて。EUAs価格はパリ協定の発効と、EUAs価格安定化のためのEUの制度整備が整ったことなどから、昨年以来、堅調に推移していた。昨年5月以降、4倍増の伸びで、20ユーロ台に乗せていた。http://rief-jp.org/ct4/82012

 

 ただ、13日にノルウェーの著名投資家が、ノルウェーの電力価格とドイツの市場でのカーボン価格との裁定取引で大損を出したことが発覚、総額1億1400万ユーロの穴埋めが必要になることが報道された。これを受け、カーボン取引への需要が一気に縮んだ格好だ。http://rief-jp.org/ct6/82748

 

 昨年来のEUAs価格の上昇基調は、パリ協定に伴う石炭などの化石燃料発電等の事業者等が操業継続のためにクレジット確保に動いていたためとみられる。今回の価格の暴落は投機的な動きを反映したものというよりも、気候変動によるノルウェーの水力発電価格の低下(大雨による)など、市場要因とは別の自然要因が主な引き金とみられる。このため、クレジット価格の下げ幅は大きかったが、一時的なショックで下がったとみられる。

 

 EEXでは14日にクレジットの入札があり、EUAsのスポット価格は19.51ユーロに戻している。

 

https://www.eex.com/en/about/eex/eex-ag