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ESG評価会社のSustainalytics社、統合型のESGリスク格付方式を開発。産業区分ごとの「ベスト・イン・クラス」方式ではなく、全産業比較が可能に(RIEF)

2018-09-18 08:07:24

sustainalyticsキャプチャ

 

  ESG評価会社のSustainalyticsは、投資家が自らの投資ポートフォリオ内の財務上重要(Materiality)の高いESGリスクを評価するための新たな「ESGリスク格付システム(ESG Risk Ratings:ERR)」を開発した、と発表した。

 

 従来、投資対象企業のESG評価については、対象となる産業区分ごとに、相対的な優位性を評価する「best-in-class」方式が主流で、Sustainalyticsも同方式を採用してきた。しかし、今回のERR方式は、産業区分や地域を超えて、対象企業のESG要因の財務的な重要性を比較することが可能という。

 

 同社のESGリサーチ担当のSimon MacMahon氏は「ERRは一種の『ゲームチェンジャー』になる。投資家にとって、どのESG課題が投資対象企業にとって重要かを分かり易く提示できるほか、当該企業がそうした課題をどう対応しているかも評価できるためだ」と指摘している。

 

 またこれまでのESG評価では、企業経営を評価するガバナンス格付については、個別評価対象となるE、Sとは別に評価する例が多かった。SustainalyticsもESG格付とガバナンス格付を別々に評価してきた。今回のERRは、年初に開発したカーボンリスク格付に基づいてガバナンスを含めたESG格付となっているという。

 

 ERRの格付は5段階。リスクの評価は「negligible(軽い)」「low(低い)」「medium(中程度)」「high(高い)」「severe(厳しい)」となっている。ERRがカバーする対象企業は、現在のところグローバルベースで約9000社だが、2019年には1万社を超す見通し。

 

 投資家はこの格付方式を自らの投資ポートフォリオへのESG統合に活用できるほか、投資分析、インデックスやファンドの組成、エンゲージメント活動や株主総会での投票判断、ポートフォリオのスクリーニング、やベンチマーキングに応用できるという。

 

 ESG要因を投資判断に組み込む風潮が高まるにつれ、財務的なリスク・リターンとの統合を、より説得力のある形で評価するための評価手法の開発競争に移りつつあるといえる。ESGの評価力での競い合いだ。

 

www.sustainalytics.com