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グリーンボンドを含むグローバルな「気候適合ボンド」市場、1兆4500億㌦に。日本の円建て市場は「失望レベル」。英CBIが調査(RIEF)

2018-10-03 23:35:12

CBI16キャプチャ

 

  英非営利機関の「Climate Bonds Initiative (CBI)」は、グリーンボンドを含め、気候変動対策や環境ビジネス関連の資金調達に活用されている「気候適合ボンド(Climate Aligned Bond)」市場が、9月時点で1兆4500億㌦に達したとする報告書を公表した。

 

 「気候適合ボンド」は、グリーンボンドの市場基準であるGBPやCBIに適合する「labelledグリーンボンド」のほか、発行体の収入の95%がグリーンビジネスとなる「完全適合型」発行体の社債、同じく75%~95%の「強度に適合型」発行体の社債という3種類のボンドを含む。

 

 今回の集計では、適合ボンドの全体の発行体数は869機関。「labelledグリーンボンド」は発行体数498機関で3890億㌦、「完全適合型」は342機関で7470億㌦、「強度に適合型」は82機関、3140億㌦。このうち、米国の自治体発行の気候適合ボンドが2500億㌦含まれている。

 

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 labelled グリーンボンド発行体のうち52機関は、グリーンプロジェクト向けの債券のほか、自らの式調達として「完全適合型」「強度適合型」の社債を発行している。同ボンド発行体の残りの446機関の本業でのグリーンビジネス収入は75%以下のため、発行する通常の社債は適合ボンドの基準に該当しない。

 

 地域的にみると、中国が強度適合型で1890億㌦、グリーンボンドで550億㌦の規模で、それぞれ前年比20倍、8倍と急増した。全体でも3000億㌦規模に達する。欧州は全体では中国を上回り5090億㌦。うちlabelledグリーンボンドが1450億㌦、完全適合型が2910億㌦、強度適合型が790億㌦。EU加盟国別では、仏、英、独の3カ国が発行額上位を占めている。

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 発行通貨建てでは、ユーロ建てが3160億㌦(全体の26%)、米ドル建てが3140億㌦(同26%)と、ドルとユーロ建てで全体の過半数を占めた。このうちLabelled グリーンボンドはドル建てが多数を占めた。中国人民元建ては、前年は32%と高い比率を占めたが、今年は22%と10ポイント低下した。

 

  円建ての発行は「その他」の中でも上位に表れていない。世界の債券市場で日本の債券市場は1割強のウエイトを占めることから、CBIは「日本の円建て市場はグリーン分野で、十分に機能していない」(CBI)と、“失望レベル”であると指摘している。

 

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 資金使途の分野別では、運輸分野が5320億㌦で、前年同様1位で全体の31%を占めた。ただ2013年の割合は61%で、以後、段階的に低下している。代わりに、多様なグリーン分野に資金を供給するマルチセクター型ボンドや、グリーンビルディング関連のグリーンボンド等が増加している。

 

https://www.climatebonds.net/files/reports/cbi_sotm_2018_final_01g-web.pdf