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スウェーデンの自治体向け資金調達機関「Kommuninvest」、グリーンボンド発行でプレミアム(グリーニアム)0.025%獲得。「グリーン性」が発行コスト引き下げに貢献(RIEF)

2018-10-18 22:46:44

kommuninvestキャプチャ

 

 スウェーデンの地方自治体向けの資金供給機関である「Kommuninvest」は、このほど、同機関として5回目のグリーンボンドを発行した。発行額は30億スウェーデンクローネ(約376億円)で、価格は「グリーン性」のプレミアムで通常よりも、0.025%分、低い金利で発行できたとして、「グリーニアム(greenium)」を獲得したと、グリーンボンドの利点をアピールしている。

 

  「Kommuninvest(コミューンインベスト)」は、スウェーデンの自治体による共同資金調達機関。同国と同様、最上位の格付け (Aaa/AAA)を取得しており、日本の機関投資家の投資対象にもなっている。

 

 今回発行したグリーンボンド30億SEKで、期間5年、クーポンレート0.625%だが、50億SEKの応募があり、利回りはKommuninvestの通常の利回りを0.025%(2.5bps)下回ったという。当初の見込みのミッド・スワップレートの0.065%が0.040%にとどまった。投資家は国内外から29機関が応募した。

 

 グリーンボンドの発行については、グリーン性を評価する外部評価などの追加コストがかかりコストアップするとの指摘がある一方、今回のように、グリーン性が明確に支持された場合、通常のボンドよりも低利回り(プレミアム付き)で発行できるとの指摘もあるが、今回は後者の実例となった。

 

 Kommuninvesの債券管理部の副部長の Tobias Landstrom氏は「今回、低コストでグリーンボンドを発行できたのは、サステナビリティな有形資産価値を明確に示せたことが大きい。また、われわれが、自治体のグリーン移行政策を支援していることも投資家に分かり易く伝えることができた」と、「グリーニアム」が創出できた背景を説明する。

 

 グリーンボンドの資金使途先は、再生可能エネルギー事業のほか、省エネ、グリーン・ビルディング、クリーン交通機関、水資源管理、廃棄物管理等。同国内の市町村やカウンティなどの自治体が実施する個別事業に対して融資資金に充当される。今年10月時点で、同機関は98の自治体の209のグリーン・サステナブルな事業に対して合計352億SEK(約4400億円)のグリーンローンを提供している。

 

 グリーンボンドについては、日本の環境省はコストアップ分を税金で補助する制度を実施している。欧米にはそうした国による補助制度はなく、今回のKommunivest のように、優良な発行体による、優良な資金使途先が明瞭であれば、投資家が競って購入するという好循環が定着しつつある。

 

 日本の環境省は、グリーンボンドの第三者評価一件当たり約300万円の税金を発行体に配分している。こうした制度は、欧米の投資家流の視点からみると、補助金で支えないとグリーン性を担保できない「ディスカウント・グリーン」なボンドとなるリスクもありそうだ。

https://kommuninvest.se/2018/10/kommuninvest-again-achieves-lower-funding-cost-with-green-bond/