サステナブルファイナンスの金融センターネットワーク(FC4S)のアジア・太平洋ハブセンターに上海・浦東の陸家嘴金融センター。日本の都市はどこも参加せず(RIEF)
2018-10-22 07:44:27
国連環境計画(UNEP)の支援でスタートした各国の金融センターで構成する「Financial Centres for Sustainability (FC4S) network」は19日、アジア・太平洋のハブセンターを中国・上海に置くと発表した。FC4Sには日本の都市はどこも名乗りを上げていない。「傍観」している間に、サステナブルファイナンスでも中国主導の方向性が明確になった形だ。
(写真は、FC4Sのアジア・太平洋ハブセンターに決まった上海・陸家嘴の金融地区)
FC4Sのアジア・太平洋地域のハブセンターは、同地域での気候ファイナンス、サステナブルファイナンスを普及・拡大するための拠点として位置づけられる。上海・浦東にある陸家嘴(Lujiazui)の金融センターに設けられる見通し。
FC4Sは2017年9月にUNEPの主導で立ち上がった。気候ファイナンスやサステナブルファイナンスを拡大、促進するために、各金融センターが共通行動をとり、実践の経験を共有することを目標としている。
ロンドン、パリ、フランクフルト、ミラノ、ダブリンなどの欧州の金融都市と、香港、上海、深圳、ソウル、トロント、カサブランカなど合計18都市が名を連ねている。欧州のハブセンターにはアイルランドのダブリンが選ばれている。
上海・陸家嘴の金融センター国際金融センターとして発展を続けている。同センターは最近、FC4Sのメンバーでもあるカサブランカとの間で、サステナブルファイナンス等での協力促進の覚書を調印したほか、自らグリーンファイナンスのオンライン・プラットフォームを立ち上げている。
オンライン・プラットフォームは、各地域でのグリーンプロジェクトをはじめ、内外の資本、ファイナンスに関する情報を、企業や金融機関、投資家に向けて提供するもの。サステナブルな取引需給のマッチングを支援することを目指している。
UNEPは、先に国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が公表した「1.5℃特別報告」を踏まえ、「世界の金融センターを気候ファイナンス、サステナブルファイナンスに向けて機動させることは、IPCCが報告するシステム移行を達成するうえで重要な役割を果たす」と指摘、FC4Sの重要性を強調した。
FC4Sのアジア太平洋地域のハブセンターの決定は、同日、上海で開いたFC4Sの第2回理事会で決めた。理事会では、戦略的パートナーシップを促進するための共同議長として、フランスの「 Finance for Tomorrow initiative」のPierre Ducret氏と、中国の「Shanghai Green Finance Committee」議長のKong Wei氏の2人を選出した。
さらに、新たに「Wall Street Working Group」を組織、将来のニューヨークの参加を目指すことも確認したとしている。