HOME4.市場・運用 |「持続可能な証券取引所イニシアティブ(SSE)」の2018年サステナビリティ情報開示ランキング。首位はナスダック・ヘルシンキ。東証は18位。前年より改善した形だが・・(RIEF) |

「持続可能な証券取引所イニシアティブ(SSE)」の2018年サステナビリティ情報開示ランキング。首位はナスダック・ヘルシンキ。東証は18位。前年より改善した形だが・・(RIEF)

2018-11-20 07:35:28

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   国連の「持続可能な証券取引所イニシアチブ(SSE)」がこのほど公表した2018年の進捗レポートによると、上場企業のサステナビリティ情報開示がもっとも進んでいる証取として評価されたのは、フィンランドのナスダック・ヘルシンキ市場だった。東京証券取引所は中位の18位だったが、2017年の36位からは改善した形ではある。

 

 SSEは2009年に、当時のアナン国連事務総長が開始した。国連開発計画(UNCTAD)、グローバル・コンパクト、 国連環境計画 金融イニシアティブ(UNEP FI)の各国連機関と、国連支援の責任投資原則(PRI)とによって、証券市場のESG情報開示を推進することを目指して展開されている。

 

 毎年のレポート作成は、仏保険会社のAVIVAが支援する形で、カナダの調査会社Corporate Knight が公表している。対象とする証券取引所の評価データは、昨年はBloombergとThomson Reutersの ESGデータベースだったが、今年はFTSE Russelが協力した。

 

 このうち、対象証取のサステナビリティ開示評価については、①エネルギー使用②カーボン排出量(GHGs)③水使用④廃棄物排出量⑤従業員の事故率⑥従業員一人当たり売上率⑦派遣社員比率――の7項目を選別、これらを当該証取の上場企業がどれ位の比率で開示しているかを評価しスコアリングした。

 

 各証取比較が可能な開示データは2016年分が最新。上場企業による上記7項目の開示率で「ディスクロージャー・ランキング」を作成した。これに加えて、2015年から16年にかけての開示率の改善度評価を「グロース・スコア」とし、また開示の早さを評価する「タイムリー・スコア」も別途、はじいた。昨年はこれら3つの評価尺度に一定の比重をかけて総合点方式でランキングを作成していた。

 

 その結果、「ディスロージャー・ランキング」は前年同様、ナスダック・ヘルシンキ(96.7%)がハイスコアで首位の座を死守した。2位はユーロネクスト・パリ(86.7%)で昨年の3位からランクアップした。3位はスペイン証取(82.8%)。

 

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 アジア勢のトップは、タイ証取(73.1%)の7位。タイ証取は昨年の10位から3つのランクアップとなった。東証は、18位(52.8%)で、前年の36位から18位もランクアップした形だ。

 

 ただ、今回の調査はFTSEのAll-World Indexに適用されるESGリサーチ・ユニバース対象の売り上げ10億㌦以上の世界4300社を対象としている。このため、対象上場企業が少ない証取は除外されている。昨年2位のストックホルム証取などがそうだ。対象証取数は昨年の55から35に20件も減っている。なので、東証の「18ランクアップ」と言っても、前回の調査ベースで考えると、実はあまり改善していないともいえる。

 

 しかし、もう一つの評価である「グロース・スコア」でみると、東証は改善度が6位と上位にある。なので、まんざら進歩していないわけでもない。グロース・スコアの1位は香港証取、2位はマレーシア証取、3位はオーストラリア証取と、アジア太平洋州諸国の証取での改善が目立っている。東証は「タイムリー・スコア」でも6位で、まずまずだった。

 

http://www.sseinitiative.org/wp-content/uploads/2018/10/SSE_On_Progress_Report_FINAL.pdf