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世界銀行グループ、2021~25年の5年間に、最貧途上国の気候変動への適応力を支えるため、総額2000億㌦(約22兆7000億円)の資金供給へ。一部は、民間との協調資金を誘導(RIEF)

2018-12-03 22:15:35

 

  世界銀行は3日、気候変動対策資金として2021~25年の5年間に2000億㌦(約22兆7000億円)を拠出すると発表した。現行の2020年までの5年間の投資額から倍増させる。最貧途上国での気候変動対する適応策(Adaptation)や緊急対応支援のための投資に使う。

 

 世銀の計画では、2000億㌦のうち約1000億㌦(約11兆4000億円)を世銀が直接投資し、残りのうち300億㌦(約3兆4000億円)余を世銀グループの国際金融公社(IFC)や多数国間投資保証機関(MIGA) などが拠出する。さらに約700億㌦を世銀グループと民間資本との連携により、最貧途上国市場に誘導する予定という。

 

 最貧途上国ではすでに、気候変動の影響による水不足、熱波、豪雨、洪水等の影響を受けて、人々の生活の困難さは増している。島嶼部諸国では海面上昇に直面している。

 

干ばつの進行で農業は壊滅状態
干ばつの進行で農業は壊滅状態

 

 世銀では2000億㌦を重点配分する分野として、エネルギー資源の確保のため、再生可能エネルギー発電を36GW分開発し、150GW分のエネルギー改善でエネルギー蓄積を推進する。

 

  都市の開発では、最貧途上国の100の都市を選定し、都市の低炭素化を推進するため、気候変動に耐えられる都市計画の推進、自動車に頼らない公共交通指向型開発(TOD)を推進する。また気候リスクにさらされている30カ国の2億5000万人の人々に気候変動の激化に相違対応できる早期警戒システムや気候情報提供のシステムも整備する。

 

 食料確保と土地利用の分野では、50カ国ほどで、森林の再生など統合的な土地管理を実施し、食料確保とともに1億2000万haの森林保全を実施するとしている。 20カ国で気候対応のスマート農業への資金供給を実施する。

 

水不足でも育つ植物を栽培
水不足でも育つ植物を栽培

 

 世銀グループのジム・ヨン・キム総裁は「気候変動は世界の最貧国の人々にとって命に係わる問題だ。今回の5カ年適応対策の増額は、われわれがいかにこの問題を深刻に考えているかを示すものだ。われわれはもっと多くを、もっと早く気候対策を強化しなければならない。グローバル・コミュニティにもわれわれと同様に動きてもらいたい」と指摘している。

 

 国際金融公社(IFC)のCEO、Philippe Le Houérou氏は「民間資本にとっても、途上国での適応ビジネスは投資対象になると同時に、地球を救うことにもつながる。われわれはそうしたビジネス機会を見出して、われわれと連携することでリスクを削減、民間資金を動員したい」と述べている。

 

 世銀グループは2016年に気候変動行動計画を立案、今年は単年度では過去最高の205億㌦を気候関連活動に投じている。この額はパリ協定以前に比べて倍増しており、現行5カ年計画の2020年目標の金額を2年前倒しで達成している。

 

http://www.worldbank.org/en/news/press-release/2018/12/03/world-bank-group-announces-200-billion-over-five-years-for-climate-action