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2018年「第4回サステナブルファイナンス大賞」受賞企業決まる。大賞は日本生命。石炭火力向け新規投融資原則停止の初表明を評価。グリーンボンド賞に4社。年明け1月23日に受賞式(RIEF)

2018-12-25 17:16:45

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 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が選定する「2018年(第4回)サステナブルファイナンス大賞」の受賞企業が決まった。今年の大賞受賞企業は日本生命保険。石炭火力発電事業への新規投融資を原則取り扱わない姿勢を初めて打ち出すなど、投融資にESGのネガティブ・スクリーニングを導入する一方で、7000億円のESG投融資目標を設定するなど、ESG投融資市場の発展に総合的に貢献した点を評価された。このほか、優秀賞3社、グリーンボンド賞4社、地域金融賞1社がそれぞれ選ばれた。年明けの1月23日に東京・内幸町の日本プレスセンターで受賞式を開く。

 

 サステナブルファイナンス大賞は、RIEFが、毎年、日本の環境金融市場の発展に貢献した金融機関や企業等を選んでその活動を顕彰する制度。2015年から実施している。審査は池尾和人立正大学教授を委員長として、金融、環境、両分野の専門家合計10人で協議して決定している。選考は6項目に基づき、全員がスコアをつける定量評価と、審査員会議での定性評価を合わせ、透明性を維持しつつ、総合的に判断する方式をとっている。

 

 今年の大賞に決まった日本生命は、2016年の第2回大賞において、優秀賞を受賞しており、今回が2回目の受賞となる。前回は「ESG債への積極投資で累計1000億円を超過」したことが評価されたが、今回は「石炭火力発電事業への新規投融資は、原則として取り組まない」方針を明確にするとともに、ESG等融資額を7000億円に拡大するなど、民間で最大の機関投資家としての影響力を発揮する活動を展開している。http://rief-jp.org/ct2/67797

 

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 大賞以外の受賞企業と受賞理由は以下の通り。

 

優秀賞:三井住友信託銀行 「銀行界で初めて石炭火力向け融資の全面停止を決定したほか、信託機能を活用したグリーントラストを開発するなど、投資家のグリーン投資に応える展開をした」

優秀賞:丸井グループ 「事業活動で使用する電力をすべて再エネ電力とする『RE100』に加入するとともに、その再エネ電力調達のために小売業界初のグリーンボンドを発行するなど、、一貫性を持った再エネ取り組みを実践した」

優秀賞:第一勧業信用組合 「持続可能な経済・社会・環境の発展への貢献を目指す国際金融組織『グローバル・アライアンス・フォー・バンキング・オン・バリュー(GABV)』に日本の金融機関で初参加。他の金融機関とのネット化で地域創生に貢献した」

グリーンボンド賞:日本郵船 「外航海運業界で初めてグリーンボンドを発行。船舶のグリーン性評価の国際的活動にも加わるなど、ボンドの発行を超えた取り組みを展開した」

・グリーンボンド賞:日本リテールファンド投資法人 「不動産投資信託ファンド(J-REIT)として初のグリーンボンドを発行、他のJ-REITの追随を誘い、2018年のグリーンボンド発行“ブーム”の軸となった」 

・グリーンボンド賞:三菱UFJフィナンシャル・グループ 「年間を通じて3回のグリーンボンドを発行。日本勢によるグリーンボンド発行市場の流動性向上に貢献した」 

・グリーンボンド賞:三井住友フィナンシャルグループ 「国内金融機関として初の個人向けグリーンボンドを発行。グリーンボンドへの投資家層の多様化に貢献した」 

・地域金融賞:大分県信用組合 「過疎化、高齢化が進む地域にあって、地域自治体とともに健康寿命を延伸する活動に取り組み、『健康』をキーワードとした資金循環システム創造に取り組んでいる」

 

 今年の選考結果について、審査委員長の池尾和人審査委員長(立正大学経済学部教授)は「今年は、環境金融にかかわる取り組みの一層の拡大が実感できた。とりわけグリーンボンドの発行が相次ぎ、それぞれの業界で先陣を切った企業の中から特に顕彰すべきと判断された先に、グリーンボンド賞を本年の特別賞として授与することにした。また『脱石炭』の動きも強まってきた」と述べている。

 

 審査員は池尾委員長のほか、魚住隆太・魚住サステナビリティ研究所代表、大庫直樹ルートエフ代表取締役社長、佐藤泉弁護士、末吉竹二郎国連環境計画特別顧問、鳥谷礼子預金保険機構運営委員会委員、中北徹東洋大学教授、藤井良広環境金融研究機構代表理事、堀江隆一CSRデザイン環境投資顧問代表取締役社長、山本利明大阪電気通信大学教授で構成した。        

http://rief-jp.org/category/award