スウェーデンの公的年金のFjärde AP-fonden (AP4) は、核兵器とオイルサンド関連企業50社を投資非適格企業と認定、投資資金30億スウェーデンクローネ(約380億円)を引き揚げ、他の投資に回したと公表した。同国では主要4公的年金に、民間のESG投資の「模範的存在」となることを求める年金改正法が今年1月から適用され、AP4はそれに答えた形だ。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にも同様の「模範的行動」を求めたい。
スウェーデンの公的年金保険は賦課方式に基づく年金と、加入者自ら運用先を選択する積立方式の年金がある。それぞれを6つのファンド(AP1、 2、 3、 4、 6、 7)が運用している。今回の年金法改正ではこのうち、AP1~4の4ファンド(運用資産総額合計1兆4000億クローネ=1360億ユーロ)が対象。
4ファンドはいずれも、これまでもESG運用を重視してきたが、今回、核兵器関連とオイルサンドという、平和と温暖化に影響を及ぼすセクター全体をDivestmentの対象としたのは、AP4が初めて。同ファンドの保有資産額は3670億スウェーデンクローネ(約4兆4000億円)。
AP4は「改正法に基づく『模範的資産運用』に基づいて、サステナビリティ運用での積極性を高め、核兵器とオイルサンドに関連する企業からの投資引き揚げを決意した」と宣言した。投資引き揚げとした50社のうち、45社は核兵器関連、残りの5社がオイルサンド関連。
同ファンドは、スウェーデンが国家として加盟・批准している条約や各種協定を重視。投資判断において、これらの国際公約の「言葉ではなく精神」を受け止めて投資を実施することを、4公的年金共通のアプローチと位置付けた、としている。
核兵器関連では、同国が署名する核拡散防止条約(NPT)(日本も批准)は核兵器の最終的廃止を目指している。同条約の趣旨を踏まえれば、核兵器関連企業を投資対象から除外することは、「投資判断としてベスト・アプローチにいえる」と指摘している。