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ベルギーの金融業界団体、消費者向けサステナブルファイナンス商品の基準策定。基準合致商品には「適格ラベル」を付与。石炭やシェール石油等は投資対象外に(RIEF)

2019-02-14 16:53:40

Febelfin4キャプチャ

 

 ベルギーの金融業界団体である「Febelfin」は、投資ファンド等の消費者向けサステナブル金融商品の基準を設定した。欧州委員会が現在作業中のサステナブルファイナンス行動計画で導入を目指す同金融商品の共通基準化を先取りする形で、消費者が購入する投資ファンド等に「サステナビリティ適格ラベル」(Towards Sustainability)を付与する。

 

 Febelfinによると、ベルギーの消費者向け金融商品の規模は、預金が2601億ユーロ(約33兆8130億円)、投資ファンドが3012億ユーロ(約39兆1560億円)となっている。このうち、ESG投資などのサステナブルファイナンス関連の投資は、2013年の77億ユーロから17年には約3倍の241億ユーロへと着実に成長している。

 

 しかし、消費者が対象となる金融商品のESG度やサステナビリティの意味を十分に理解できていないのでは、との指摘が再三、出ていた。そこでFebelfinは、昨年初めにEUの「持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)」の報告書が公表されたことを受けて、同報告の内容を先取りする形で、同4月、サステナブル金融商品を保証するラベルと、各商品が順守すべきミニマム基準案を設定、これまで金融機関のほか、消費者やNGO、関係機関の意見を徴収してきた。

 

サステナブルファイナンス・マーク付与の仕組み
サステナブルファイナンス・マーク付与の仕組み

 

 今回の基準制定に際しては、国連のグローバルコンパクト(GC)、国連支援の責任投資原則(PRI)、国連の持続可能な開発目標(SDGs)、それに温暖化対策のパリ協定の各国際フレームワークを踏まえている。対象となる消費者向け金融商品は、貯蓄商品のほか、投資信託、保険ファンド、消費者向け仕組みノートなどの投資商品を含む。ベルギー国内で販売される消費者向け商品はすべて対象となることから、外国企業が提供するESG商品等も含まれる。

 

 公表された基準では5つの主要原則を定めている。①サステナビリティ戦略②サステナビリテポートフォリオに含めない産業等の除外規定②情報開示の透明性の確保④消費者等の顧客に有益な情報⑤監督体制ーーである。

 

 ①については、消費者向けのサステナブル金融商品が有する2つの戦略として、(1)ネガティブ/除外スクリーニング(2)ESG要因の統合化、をあげている。さらに追加で、ポジティブ/ベストインクラス・スクリーニング、規範ベース・スクリーニング等を盛り込んでもいいとしている。商品のポートフォリオに組み込むすべての資産はこれらのサステナビリティスクリーニングを経たものに限る。

 

除外規定
除外規定

 

 ②の除外規定の対象は、(1)GC原則最悪違反者(2)兵器(3)たばこ(4)石炭(5)シェール石油・ガス、の5分野を明記している。石炭や石油・ガスなどの化石燃料関連事業をすべて投融資対象から除外する場合は「化石燃料フリ-(Fossil Free )」のマークを別途入手できる。また通常の石油・ガス産業を対象に含める場合は、当該産業・企業へのエンゲージメントや株主行動の実施が求められる。

 

 原発等は除外規定には盛り込まれていない。だが、③の情報開示の透明性確保のため、(1)核エネルギー(原発)(2)鉱業セクター(3)圧制政治体制(4)労働者の権利侵害(5)課税逃れ(6)その他、については、当該のサステナブル金融商品がどのような対応をとっているかという情報を開示しなければならない。

 

 各サステナブル金融商品の情報は、統一したウェブサイトで情報開示され、商品には登録されたことを示す「サステナブルID」が付与される。商品の内容等については、認定された第三者機関によってチェックを受ける。また適格ラベルを付与する「中央ラベリング機関」はこれらの第三者機関を認証し、金融機関がサステナブル金融商品をマネージする際のコンプライアンス政策の監督もする。

 

 Febelfinは「新たな基準によって、消費者は安心して社会に悪影響を及ぼす企業への資金供給を止めて、より持続可能な社会建設に貢献する企業向けに資金を回すような商品を選ぶことができるようになる」と自賛している。

 

 Febelfinの基準は、EUのサステナブルファイナンス行動計画を先取りするだけでなく、温暖化対応の分野では金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)の勧告も取り込んだ内容となっている。日本の金融機関も、ベルギー金融業界の取り組みを大いに参考にしてもらいたい。ベルギーはチョコだけではないのだ。