HOME4.市場・運用 |ポーランド 3度目のグリーンボンド国債発行。10年物+30年物の長期債、合計20億ユーロ調達。投資家の信頼を反映。資金使途に石炭鉱山廃棄物対策を含む。環境NGOから疑念も(RIEF) |

ポーランド 3度目のグリーンボンド国債発行。10年物+30年物の長期債、合計20億ユーロ調達。投資家の信頼を反映。資金使途に石炭鉱山廃棄物対策を含む。環境NGOから疑念も(RIEF)

2019-03-06 17:32:27

Polandキャプチャ

 

 ポーランドは同国として3度目になるグリーンボンド国債を2種類、発行した。期間10年物を15億ユーロ、期間30年物を5億ユーロで、合計20億ユーロ(約2600億円)。いずれも欧州の投資家を中心に販売が完了した。ポーランドは2016年に世界で初めてグリーンボンド国債を発行し、これまでに2度の発行実績がある。今回は、期間が10年物と30年物という長期の資金調達とした点が特徴だ。

 

 10年物はクーポンレートが1%、募集額に対して倍以上の35億ユーロの応募超過となった。この結果、当初、市場ベースのミッドスワップレート+45bpsとの予想が35bpsにまで下がり、利回りは1.057%で調達できたことになる。より長期の30年物はクーポンレートが2%で、こちらも募集額を3倍近く上回る13億ユーロの応募があった。その結果、利回りは2.071%と堅調だった。

 

 これまでのポーランド発行のグリーンボンド国債は期間5年、8年と10年を切るものだったが、10年物、30年物の長期債発行は同国のグリーンボンド国債への市場の信頼性向上を反映したものと受け止められている。これで、同国の累積グリーンボンド国債額は37億5000万ユーロとなった。

 

 同国の国債はMoody’sからA2、FitchとS&PからA-を取得している。セカンド・オピニオンはSustainalyticsからグリーンボンド原則(GBP)への適合と、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の第7目標(再生可能エネルギー)、第13目標(気候行動)、第15目標(陸の豊かさ)のそれぞれへの適合評価を受けている。

 

ポーランド財務省(ワルシャワ)
ポーランド財務省(ワルシャワ)

 

 ボンドの主幹事は、Citigroup、 ING、 Société Générale、 JP Morgan、 PKO Bank、Santanderが務めた。いずれも各国国内市場への販売を手掛けた。ボンド発行による資金使途は、再生可能エネルギー事業や交通機関のクリーン化、持続可能な農業、造林、国立公園整備、さらに石炭鉱山から排出される廃棄物の再生等をあげている。

 

 グリーンボンド国債は投資家には歓迎された。だが、環境NGOからは資金使途に、石炭鉱山の廃棄物処理が含まれているほか、同国がエネルギーを石炭等の化石燃料に依存するエネルギー政策を継続していることなどから、「実態は『グリーンボンド』とは呼べない」との批判も出ている。

 

 グリーンボンド国債は、ポーランドが先鞭をつけ、これまでにフランス、ベルギー、アイルランド、インドネシア、ナイジェリア等が発行している。今年はスペインやオランダ等の発行も期待されている。

 

https://www.gov.pl/web/finanse/wycena-obligacji-green-bonds-w-euro-aktualnosci

http://www.intellinews.com/poland-places-2bn-worth-of-green-bonds-157278/