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欧州エネルギー取引所(EEX)日本市場で電力デリバティブ取引の清算業務への参入目指す。新電力各社の市場での調達リスクを軽減(各紙)

2019-03-09 17:17:23

eexキャプチャ

 

  各紙の報道によると、ドイツ・ライプチヒを拠点とする欧州エネルギー取引所(EEX)グループは、日本の電力デリバティブ取引の清算業務に参入する検討を進めていることがわかった。電力会社が特定の価格で将来の電気を売買する相対取引での信用リスクを引き受け、価格変動による損失を抑えたい取引関係者の需要を見込んでいる。6月中にも決定する方針。

 

 日本経済新聞が、EEXのトビアス・パウルン最高戦略責任者の話として報じた。日本での展開を想定しているデリバティブ清算業務は、EEX傘下の専門機関が担当し、1カ月、4半期、1年単位でOTC(店頭)取引の清算サービス提供を目指すという。「今後2~3カ月で市場参加者と細部を詰め、最終判断する」(パウリン氏)としている。発電燃料の仕入れ値を固定するニーズも取り込む。

 

EEXの
EEXのパウリン氏

 

 日本では電力小売り市場の自由化後、電力スポット(随時契約)取引が急増、2018年は前年比3.6倍に増えた。ただスポット価格は気温の変化などで乱高下しやすく、市場での電気調達を中心とする新電力各社にとって収益の安定性が課題となっている。このため、大手電力などとの相対取引での調達ニーズが高まっている。

 

 しかし、相対取引は相手方の供給遅延や契約違反などの個別リスクが生じる。EEXグループが提供する清算業務は、こうした決済上のリスクを軽減する事を目的としている。グループ傘下の清算機関がこれまで欧州で培ってきた信用リスクを遮断する仕組みを日本市場でも展開する考えだ。

 

 パウルン氏は、売電側の電力会社にとっても「清算機関の利用は信用リスクを管理する効率的な手法だ。相対交渉の煩雑さも軽くなる」と指摘している。

 

 また同氏は「日本の電力消費量はドイツの倍近い。電力自由化は途上だが、取引と流動性を拡大するニーズはある」と、有望市場であるとの見方を示した。「我々は電力市場の発展に長期のコミットメント(関与)をしている」と強調。ただ、日本市場で電力先物を手掛ける可能性については「現在、検討課題ではない」と述べるにとどめた。

 

 EEXグループは欧州市場で、6月末までに液化天然ガス(LNG)先物を上場する予定だ。1つの市場で発電燃料の仕入れ値と電力の販売価格との差を固定できるようになる。「売りと買いで証拠金が相殺され、資金効率でも利点がある」と説明している。

 https://www.eex.com/en/
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190309&ng=DGKKZO42190740Y9A300C1QM8000