国連の貿易開発会議(UNCTAD)と同経済社会局(DESA)が連携して、持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成に必要な投資資金を調達する新たなネットワーク「持続可能な開発のためのグロ-バル投資( Global Investors for Sustainable Development :GISD)」を立ち上げた。GISDは、グローバル投資企業や金融機関等、25~30のCEOで構成する。これまでスウェーデンが主導してきた官民一体の持続可能な開発投資(SISD)をモデルとし、グローバル展開する形だ。サステナブルファイナンスを促進する新たなプラットフォームとして期待される。
GISDの設立総会は、9月にニューヨークで開く国連の気候行動サミットの際に行われる。
国連は17目標196ゴールのSDGsを推進している。だが、目標達成には90兆㌦の投資資金を動員する必要性があるとされる。新設するGISDは民間資金がスムーズにSDGs関連事業に流れるようなプラットフォームを目指す。具体的には、SDGs関連事業推進に資する知識移転、パートナーシップの形成、サステナブルファイナンス推進の障壁を軽減するのための政策点検などの場との位置づけだ。
GISDのモデルとなったのが、スウェーデンが官民揚げて推進している「 Swedish Investors for Sustainable Development (SISD)」だ。これは同国の国際開発機関である「Swedish International Development Cooperation Agency (Sida)」の主導の下に、同国の公的年金や民間銀行等18機関がパートナーを組み、Sidaが進める途上国向け活動と連携した投融資行動をとっているほか、ベストプラクティスの開発に基づいて、自発的な投融資事業も展開しているという。
GISDはこうしたSISDの官民連携とファイナンスの供給体制をモデルとする。SISDの知見とノウハウを吸収するため、GISDに賛同する各機関のCEOで構成する運営委員会には、初年度、SISDのメンバー企業のCEO18人が参加し、協力する。
また、GISD自体の求心力を高めるため、「ハイレベルアドバイザリーボード(HLAB)を設ける。HLABには、ジェフリー・サックス、ジョセフ・ステグリッツの両米コロンビア大学教授のほか、エルネスト・セディージョ元メキシコ大統領なども加わる。国連支援の責任投資原則(PRI)やグローバルコンパクト等も支援している。
さらにGISDは、SDGsの目標・ゴールに適合する投資の基準の明確化のためのフレームワーク作りにも取り組む。現在、サステナブルファイナンスについては EUがグリーン事業を中心にタクソノミー(事業分類)を進めており、GISDの作業はそれらをソーシャルやサステナビリティ関連に拡大することを目指すものになる。