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「もっとも責任ある資産配分機関(RAAI)」の「グローバル・リーダー25機関」を選出。日本勢はGPIFだけ。日本年金機構や地方公務員共済等は「枠外」。米シンクタンクが評価公表(RIEF)

2019-05-01 22:51:04

Newamerica1キャプチャ

 

   米シンクタンクの「New America」による「Responsible Asset Allocators Initiative(責任資産配分イニシアティブ:RAAI)」は、2019年の「もっとも責任ある25機関(リーダー)」を選出した。世界の年金基金やソブリンウェルスファンド等約200機関を評価、今回新たに、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も選ばれた。

 

  RAAIはNew Americaが米タフツ大学のフレッチャースクールと連携して評価・選出した。対象とする機関投資家はグローバルベースの197機関、運用資産額で21兆㌦。これらのうちから、開示(Disclosure)、意図(Intention)、統合(Integration)などの10の原則に基づいた20のクライテリアを設定し、責任投資、サステナブル投資のリーダーシップに貢献した機関を選定した。

 

 対象となったグローバルな資産配分機関は471機関。このうちスコアリングの対象は197機関。前回(2017年)の121機関より6割増となった。評価はクライテリアへの適合性を100点満点で判定、「リーダー」として25機関を選定した。25機関は96点以上のハイスコア。次いで89点までのスコアの次の26機関~50機関を「Finalists」と位置付けた。それ以外の147機関は平均33点と、低スコアだった。

 

リーダー機関の各地域で占める割合と保有資産割合(左から南北アメリカ、アジア大洋州、中東・アフリカ、欧州の順)
リーダー機関の各地域で占める割合と保有資産割合(左から南北アメリカ、アジア大洋州、中東・アフリカ、欧州の順)

 

 「リーダー」には、日本のGPIFなど新たに9機関が選ばれた。25機関のうちアジアからの選出は、GPIFとマレーシアの政府系ファンドのKhazanah Nasional Berhad との2機関だけ。国別では、カナダの5年金基金等が最多数で、次いで、英仏米がそれぞれ3機関ずつ選ばれた。

 

 内訳は、米国のカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)のほか、スウェーデンのAP Funds、オランダのAPG Groepなどの18公的年金と、6ソブリンウェルスファンド、1件の国連年金基金となっている。

 

 リーダー機関全体の運用資産総額は5兆9000億㌦で、前回2017年の4兆9000億㌦より1兆㌦増えた。分析したNew Americaは、グローバルな機関投資家の多くが保有資産のESG投資額を増やしていることを反映した、とみている。

 

  日本勢ではGPIFのほか、日本年金機構、地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会の各公的年金が評価の対象となった。だが、GPIFがリーダーに初めて評価された以外の機関は、「枠外」だった。

 

  RAAI プログラム議長のTomicah Tillemann氏は「RAAIのリーダー企業の増強は、主要機関投資家のポートフォリオに、フィデシャリー・デューティ(受託者責任)定義が拡大され、ESG配慮の適用が増大していることを示す」と評価している。

 

 RAAIの創始者でもあるScott Kalb氏も「 世界はより一段と環境・社会要因への配慮を投資実践に反映させていることが、今回の調査で一段と明確になった。リーダー格の機関は責任投資の実践で、各投資家のベンチマークとなっている。資産配分コミュニティは、責任ある投資やサステナブルな投資が、最適な投資リターンと、リスクの低減、さらなる成長の機会を確保するためのより良い方法だとの理解が進んでいる」と指摘している。

 

 2019年調査で「リーダー機関」として評価された資産配分機関リスト(アルファベット順)

 

  1. Alberta Investment Management Corp. (AIMCo) (Canada)
  2. AP Funds (Sweden)
  3. APG Groep (Netherlands)
  4. Australian Super* (Australia)
  5. British Columbia Investment Management Corp. (Canada)
  6. Caisse de dépôt et placement du Québec (Canada)
  7. Caisse des Dépôts et Consignations (France)
  8. California Public Employees’ Retirement System (CalPERS) (USA)
  9. California State Teachers’ Retirement System (CalSTERS)* (USA)
  10. Canada Pension Plan Investment Board (CPPIB) (Canada)
  11. ERAFP (Etablissement de Retraite Additionnelle de la Fonction Publique) (France)
  12. Fonds de Reserve pour les Retraites* (France)
  13. Government Pension Fund – Global (Norway)
  14. Government Pension Investment Fund* (Japan)
  15. Khazanah Nasional Berhad (Malaysia)
  16. Strathclyde Pension Fund* (UK)
  17. New Zealand Superannuation Fund (New Zealand)
  18. Ontario Teachers’ Pension Plan (Canada)
  19. PensionDanmark* (Denmark)
  20. PGGM (Netherlands)
  21. Public Investment Corp. (South Africa)
  22. RPMI Railpen* (UK)
  23. UC Regents Investment Funds* (USA)
  24. United Nations Joint Staff Pension Fund (Global)
  25. Victoria Funds Management Corp* (Australia)

*は今回初選出。

 

https://www.newamerica.org/

https://www.newamerica.org/responsible-asset-allocator-initiative/press-releases/raai-releases-2019-ranking-25-most-responsible-asset-allocators/