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米Moody'sによる英仏Vigeo Eiris買収額は、約5000万ユーロ(約62億5000万円)。高まるESG評価会社の市場価値(RIEF)

2019-04-22 09:00:36

Moody's15キャプチャ

 

   米格付機関のMoody’sがESG評価機関のVigeo Eirisを買収、傘下に収めたことが、先週のグローバルなESGビジネス市場で話題となったが、公表されていない買収額は約5000万ユーロ(約62億5000万円)とみられることがわかった。

 

 2016年にライバルのS&Pが同じくESG評価分析専業の英Trucostを買収した際は、1421万ポンド(約20億円)だったとされる。TrucostとVigeo Eirisでは事業形態、規模等が微妙に異なるが、有力なESG評価会社の市場価値が高まっているとの見方は少なくない。https://rief-jp.org/ct6/64428

 

 Moody’sの買収価格の推計については、英誌Responsible Investorが伝えた。Moody’sはVigeo Eirisの総株数の51~70%を買収したという。同社が取得した株の多くは、Vigeo株を保有していた外部投資家からで、Amundi、 Caisse des Dépôts、 Natixis、 Generali Vie、 Solactive、 VYV Investなどの名が挙がっている。

 

 売却株の時価総額は、2800万ユーロとみられ、買収額が5000万ユーロだったとすると、Moody’sはほぼ倍の評価額で購入したことになる。買収とともに、同社はVigeoの資本準備金を600万ユーロ増強させるとしている。また買収条件では、マイノリティ株主は2020年以降になれば、一株17.45ユーロを最低価格として売却できるという。

 

 Moody’sは、Vigeo Eirisを傘下に収めるものの、Nicole Notat会長は引き続きポストにとどまり、CEOには仏人材会社BPI Groupの取締役会議長だったSabine Lochmann 氏を充てるなど、従来通りの欧州のESG評価機関、としてのプレゼンスを維持する方針だ。http://rief-jp.org/ct6/88954

 

 ただ、今回、Vigeo株を保有していた仏機関投資家や金融機関等の多くが、保有株を手離したことの影響を指摘する声もある。これまで、多くのフランス企業や機関が、ESG調査研究活動をVigeo Eirisに委託する関係を続けてきた。米資本の傘下に入り、株主も代わることで、果たして従来通りの「フレンチコネクション」を維持できるのか、という点だ。

 

 ESG評価・調査ビジネスは、従来のアンケート等をベースとした労働集約型のサービス提供から、より効率的で信頼性の高い評価方式への転換が求められている。資本力強化とともに、市場の信頼を得る評価力をめぐる競争はさらに激化しそうだ。ESG評価機関自身の「Empowerment(向上)」が求められている。

http://www.vigeo-eiris.com/

http://moodyshome.weebly.com/les-ambiances.html