ノルウェー最大の年金「KLP」、アルコール関連企業とギャンブル企業を投資対象から除外。日本のキリンビール、よみうりランド等6社も除外。約350億円分をすでに市場で売却(RIEF)
2019-05-30 21:13:18
ノルウェー最大の年金基金のKLPは、アルコール関連企業とギャンブル関連企業を投資対象から除外した、と公表した。それらの企業、約90社分の株、債券、総額3億2000万㌦(約350億円)は売却した。売却対象には、アルコール事業でキリンビール等、ギャンブル事業でよみうりランド等、合計6社が含まれている。
(写真は、KLPのHPより。投資は「未来の社会」のため)
KLPは運用資産額が800億㌦(約8兆8000億円)の同国最大の年金基金。今回の投資除外業種の拡大については、年金受給者等を対象としたコンサルティング等の手続きを経て決定した。除外対象にはポルノ産業も入るが、KLPの既存の投資対象には同業種は含まれていない。
両業種からの収入が5%以上ある企業が投資除外の対象となる。対象企業数はグローバルに約90社に達した。KLPはこれまでに、投資除外業種として、タバコ会社、一定の兵器製造メーカー、石炭鉱山、同関連事業を設定している。
除外企業のうち日本企業は、アルコール事業分野で、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングスのビール3企業と、宝ホールディングスの4社。いずれもアルコール事業が収入の50~100%を占める専業企業。
ギャンブル事業部門では、よみうりランドと、大井競馬場等を運営している東京都競馬会社の2社。東京都競馬はギャンブル専業だが、よみうりランドは遊園地の経営のほか、船橋競馬場、川崎競馬場等を運営しており、収入に占めるギャンブル事業の比率は10~24.9%と分類されている。
グローバルには、ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)、蘭ハイネケン、英ブックメーカーのパディパワー・ベットフェア、酒類の英ディアジオなどが除外された。
KLPは「人々をギャンブルやアルコール漬けにして健康や生活を害する製品等への投資で資金の運用をしたいとは思わない。年金資金は、社会への持続可能な貢献をすることで、より良い活動ができる」と指摘している。
世界保健機関(WHO)によると、世界の年間の死者の5%はアルコールが原因によるとされる。ノルウェーでは、暴力事件の半分以上はアルコールが原因に絡むなど、アルコール関連の社会的コストは同国だけで年間20億㌦(約220億円)に達するという。