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グローバルなグリーン&サステナビリティローンの累積発行額が1000億㌦突破。グリーンボンドに次ぐ市場の拡大。ボンドを合わせると発行額100兆円に迫る勢い(RIEF)

2019-06-20 12:24:48

greenloanキャプチャ

 

  グローバル市場でのグリーンローンとサステナビリティローンの累積発行額が1000億㌦を突破した。直近までの発行額を集計した。単独のグリーンローンでもっとも高額だったのはスペインの公益事業体のIberdrolaが昨年借りた53億ユーロ(約60億㌦)の案件。先行するグリーンボンド市場は7倍以上の規模で、ローンとボンドの両方を合わせた「グリーンデット市場」は8600億㌦(約94兆円)と、100兆円台に迫っている。

 

 英Environmental Financeがまとめた。2018年の発行額は年間ベースで過去最高の652億5000万㌦で、前年の95億4000万㌦から6.83倍増と急成長した。2016年は1億5400万㌦でしかなかったから、この3年で急速に膨らんだことになる。

 

 今年に入っても上半期だけで363億㌦の実績があり、昨年の同期の252億㌦を44%上回っている。グリーンローンは借入先のグリーンプロジェクトを評価して融資する。プロジェクト対象という点で、グリーンボンドと共通する。一方のサステナビリティローンは借り手企業のESG評価等をベースに融資するパターンが多い。

 

 グリーンローンについては、大規模なシンジケートローン等を対象とした国際的なグリーンローン原則(GLP)が金融機関の自主的基準として扱われている。今年3月にはサステナビリティ・リンクド・ローン原則(SLLP)も制定されている。http://rief-jp.org/ct6/88326

 

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 ローンの基本は貸し手と借り手の2者間取引。金融機関が借り手企業等のグリーンプロジェクトを評価して貸すため、金融機関にノウハウが積み上がると、第三者の投資家へ販売しなければならないグリーンボンドやサステナビリティボンド等の発行に比べて、金融機関にとって取り組み易い一面もある。

 

 これまでで最大のグリーンローンとなったのは、Iberdolaが2018年1月に借り入れた53億ユーロのグリーンローン。スペインの大手銀行BBVAがファシリティエージェントを務め、約25の銀行が参加した。

 

 グリーン&サステナビリティローン市場が、グリーン&サステナビリティボンド市場に続いて急成長し始めたのは、上記のGLPやSLLPなどの市場ベースの基準が制定され、グローバル案件に各国の金融機関が参加しやすくなったことがあげられる。またパリ協定に関連したグリーンプロジェクト、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連したサステナビリティ案件等の開発が各地で進展してきた需要サイドの影響も大きい。

 

 こうしたグローバルな動きを受けて国際標準化機構(ISO)でも、グリーンボンドとともにグリーンローンについての標準化の作業も進展している。

 

 先行するグリーンボンドやソーシャルボンド、サステナビリティボンドを合計すると累積発行額は7500億㌦を突破している。グリーン&サステナビリティローンの7.5倍以上となる。ローンとボンドを合計すると「デットインスツルメント」と呼ばれるが、総額8600億㌦に達した。グリーン&サステナビリティ分野の金融商品は「ニッチ」の市場から、一歩外に踏み出すレベルに達してきた。