HOME4.市場・運用 |欧米主要銀行、国際海事機構(IMO)の国際海運船舶のCO2排出規制支援の「ポセイドン原則」設立。船舶融資ポートフォリオのCO2排出量等を開示。邦銀の対応も求められる(RIEF) |

欧米主要銀行、国際海事機構(IMO)の国際海運船舶のCO2排出規制支援の「ポセイドン原則」設立。船舶融資ポートフォリオのCO2排出量等を開示。邦銀の対応も求められる(RIEF)

2019-06-21 17:54:27

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  米シティグループなど国際的金融機関は国際海運船舶のCO2排出量規制を融資基準に反映させた「ポセイドン原則」を立ち上げた。国際海事機構(IMO)が2050年までに国際海運からのCO2排出量を半減(2008年比)させる行動を金融面から支援するのが目的。賛同金融機関はシティのほか、仏ソシエテ・ジェネラル、INGなどの11金融機関。日本の3メガバンクにも参加を要請している。

 IMOは昨年4月、京都議定書からの課題であった国際海運船舶からのCO2排出規制について、2050年までに50%削減することで合意した。7年越しの交渉でまとまった。http://rief-jp.org/ct4/78560

 
   

 ポセイドン原則は「船舶向け融資(Ship finance)ポートフォリオを社会的ゴールに適合させる」ことを目的に、環境影響評価(Assessment)、説明責任(Accountability)、実行(Enforcement)、透明性(Transparency)の4項目の原則を掲げる。

 第一原則のアセスメントでは、船舶一隻ごとの年間効率化比率( Annual Efficiency Ratio:AER)をカーボン排出評価の基準とする。AERは船舶の燃料消費パラメーターや航行距離、載荷重量㌧(design deadweight tonnage)等を使って示される。

  第二原則の説明責任を果たすため、船舶の燃費消費データについてはIMOが集計したデータ(IMO IDS)を共通のものとして活用する。今年1月からIMOのルールで5000総重量㌧以上の国際船舶はIMOに燃料使用量やCO2排出量等のデータを提出しなければならなくなっている。

 第三の実行の原則では、融資条件に船主や荷主等の顧客がCO2排出量等の情報を開示することを定めた財務条項(コビナンツ)の設定を求めている。また第四の情報開示の透明性の原則では、また署名金融機関は毎年、原則に基づく船舶融資ポートフォリオからのCO2排出量等の情報開示をしなければならない、としている。

  原則の運営委員会の議長に就任したシティの船舶&物流部門のグローバル責任者のMichael Parker氏は「われわれ銀行の役割は、海運業界がグローバルな海運バリューチェーンを通じて、責任ある環境スチュワードシップを促進できるように支援することにある。ポセイドン原則はわれわれが海運業界に投融資をする際の判断に資するだけでなく、海運業界とわれわれの社会がよりよい未来を形成するために貢献する」と、意義を強調している。

 創設メンバーにはシティとソシエテ・ジェネラルのほか、DNB、ABM AMRO、アムステルダム貿易銀行(ATB)、クレディ・アグリコルCIB、Danish Ship Finance、 DanskeBank、 DVB、 ING、Nordeaとシティ以外は欧州の金融機関で構成する。

 11行でグローバルな船舶融資ポートフォリオの約20%をカバーする。原則構成金融機関は、アジアの銀行を含む、他の金融機関の参加を要請している。

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