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国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)と欧州銀行協会が、EUの気候関連タクソノミーのガイドライン作成へ。ワーキンググループ設立。来春にも公表(RIEF)

2019-07-19 00:07:00

EBFキャプチャ

 

 国連環境計画の金融イニシアティブ(UNEP FI)と欧州銀行協会(EBF)は、EUの欧州委員会が進めるサステナブルファイナンスの気候関連事業のタクソノミー(事業分類)を銀行が融資判断で適用できるガイドライン作成に乗り出す。近く、作業のためのワーキンググループを立ち上げる。

 

 欧州委員会は6月18日に、技術専門家グループ(TEG)が気候変動回避事業と適応事業の気候関連分野の事業を網羅したタクソノミー最終案を公表した。対象は7つの産業セクターをカバー、気候回避活動として67、気候適応事業は9事業を列挙している。https://rief-jp.org/ct4/90824

 

 これらのタクソノミーは主に投資家の投資判断に資することを狙いとしている。しかし、銀行が個別グリーン事業に融資する際にも有益な基準となることから、UNEPとEBFは銀行向け(融資)に適用できるガイドラインを設定する考えだ。

 

UNEPFIキャプチャ

 

  ワーキンググループは9月に作業を開始。10月に最初のドラフト、次いで11月に第二ドラフト、来年1月に最終ドラフト、と、段階的に内容を固め、来年2月あるいは3月にガイドライン発行の予定。実務的な積み上げで整理する考え。

 

 EUタクソノミーの特徴は、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業のように、グリーン事業であることが明確な事業と同時に、低炭素経済への移行期(Transition)での活動事業も、一定の閾値を設定して対象に含めている。

 

 さらに気候変動に効果がある場合でも、「Do no significant harm(DNSH)」原則に抵触すると、対象外になる規定も導入した。水・海洋資源保護、廃棄物対策のサーキュラーエコノミー、汚染防止抑制、健全なエコシステムの保護の4つの環境目的に悪影響がないことが前提だ。

 

 作成する銀行用ガイドラインでは、こうした閾値の評価や、DNSHの適用・評価の条件等を明確にすることになると思われる。利用事例の作成や、情報開示のガイドライン、さらに気候変動関連事業への融資に関する一般的な勧告も盛り込む見通し。

 

 ワーキンググループはEBFのメンバー金融機関のほか、UNEP FI関係者らで構成するとみられる。

 

 スペインの大手銀行BBVAの責任ビジネスのグローバル責任者で、EBFのサステナブルファイナンス・ワーキンググループ議長を務めるAntoni Ballabriga氏は「タクソノミーを自主的に銀行が適用できる共通クライテリアの作成は、銀行が情報開示や比較可能性を高めるうえで意味がある」と述べている。

 

 EBFはEUタクソノミー利用が銀行にとって有益な点を以下のように列挙している。

 

(1)大規模な資金をサステナブル事業に投じることが可能。

(2)サステナビリティ目標への効果的で迅速な適合ができる。

(3)グリーンウォッシングのリスクを下げて透明性を高めることができる。

(4)顧客や他のステークホルダーのサステナブルな選択に銀行が適合できる能力を高める。

(5)低炭素経済社会への移行期の融資エクスポージャーと顧客とのリレーションを改善する力を高める。

(6)サステナビリティを改善するための目標となるインセンティブに適用できる。

 

https://www.unepfi.org/events/webinars/webinar-high-level-guidelines-for-banks-on-the-application-of-the-eu-taxonomy/

https://www.ebf.eu/