年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、アジア開発銀行(ADB)発行のグリーンボンドを投資対象に加える。アジア・太平洋のグリーンプロジェクト推進に貢献(RIEF)
2019-08-08 14:23:31
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、アジア開発銀行(ADB)とパートナーシップを結び、ADBが発行するグリーンボンドをGPIFの投資対象に加えることを決めた。ADBがアジア・太平洋地域で展開するグリーン・プロジェクトへのファイナンスを支援することになる。
GPIFは直接の運用は行わないため、運用を委託する資金運用機関に対して、ADBが自らのグリーンボンドへの投資を提案する形となる。GPIFは投資判断にESG評価を取り込む責任投資原則(PRI)にも署名しており、グリーンボンドへの投資はそうした運用方針に沿ったものと位置づけている。
GPIFは、4月に世界銀行グループ発行のグリーンボンドへの投資を、6月末には欧州投資銀行(EIB)が発行するグリーンボンド(Climate Awareness Bond)への投資を、それぞれ認めている。今回のADB対応は、それらに続き、国際公的金融機関のグリーン資金調達を支援する形となる。http://rief-jp.org/ct6/91363?ctid=69
ADBは、2015年に最初のグリーンボンドを発行して以来、アジア・太平洋地域で途上国が温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の影響に適応するプロジェクトを資金面から支援している。これまでグリーンボンドを28本、それ以外にソーシャルボンドとサステナビリティボンドをそれぞれ1本ずつ発行し、総額67億㌦に達している。ADBのESGボンドは、長期、安定的な債券であることから、年金基金や資産運用機関などの機関投資家にとってもESG投資の対象とみなされている。
さらに、パリ協定に沿った気候変動対策を推進するために立案したADBの「ストラテジー2030」では、2030年までにADBが実施する業務案件数の75%は気候変動関連の緩和と適応策になるという。このため、2019~2030年間に累積で800億㌦の気候変動関連ファイナンスを提供する計画で、そうした資金調達手段として、グリーンボンドの発行増が見込まれている。
GPIFは、世界銀行グループとESG投資促進のための共同研究報告をまとめるなど、債券投資でのESG取り組みに力を入れている。今回のADB発行のグリーンボンドへの投資支援の表明も、そうした一連のESGインテグレーション方針の具体化といえる。
GPIFの高橋則広理事長は、「環境・社会問題などの負の影響を減らし、運用資産全体の長期的なリターンを向上させるため、ESGを考慮した投資を推進している。債券投資においてもESGの取り組みを進めていく」としている。
中尾武彦ADB総裁は、「アジア・太平洋地域の環境関連投資を促進するとともに、ADBが果たすべき役割に密接に関連するこの重要な取り組みで、GPIFと協力できることはたいへん喜ばしい」と歓迎している。
https://www.gpif.go.jp/investment/esg/adb.html
https://www.adb.org/ja/news/japans-government-pension-investment-fund-support-adbs-green-projects