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国連支援の「責任投資原則(PRI)」、署名資産保有機関中、優れた責任投資活動の「Leaders」を47機関選定。欧州勢が7割強。日本からはゼロ(RIEF)

2019-09-12 16:41:38

PRI1キャプチャ

 

 国連支援の責任投資原則(PRI)は、署名機関のうち、資産保有機関のESG投資活動を評価し、初の「Leaders’ Group 2019」として47機関を選出した。責任投資の体制や、上場株・プライベートエクイティ等への投資に際して外部の資産運用機関等の選別等にすぐれていた、として評価された。47機関の7割強は欧州勢で、日本をはじめアジアはゼロだった。

 

 PRIは貯金時点で、2515を超す署名機関を抱える。責任投資を自発的に宣言する署名だが、主要な資産保有機関、資産運用機関の多くが署名しているため、署名の有無による優劣が見えにくくなっている。このためPRI事務局は署名機関の活動内容を評価して、格付け方式の導入を検討していた。

 

PRI22キャプチャ

 

 しかし、PRI自体が自発的な活動であることから、署名機関を区分する格付けの導入には、署名機関から強い反発があがった。そこでPRIは、格付けの代わりに優秀な署名機関を選別する今回の制度を導入したというのが経緯だ。

 

 PRI署名機関には資産保有機関と資産運用機関、それらに専門的サービスを提供するサービスプロバイダーの分類がある。今回の「Leaders’」は、年金、生命保険会社等の資産保有機関(1773機関)を対象として選んだ。

 

 選考では、資産保有機関が上場株やプライベートエクイティへの投資に際して、外部の資産運用機関やコンサル等を選別する際の責任投資評価のあり方等を判断基準にしたという。このため、外部評価機関を活用しない資産保有機関等は選好の対象外とした。

 

上場企業、プライベートエクイティ投資で外部評価機関を活用する署名機関の地域別割合
上場企業、プライベートエクイティ投資で外部評価機関を活用する署名機関の地域別割合

 

 第一回「責任投資のLeaders」に選ばれたのは、米CalPER(カリフォルニア州職員退職年金基金)や、アリアンツ(独)、アクサ(仏)、BT年金システム(英)など。国別にみると、英国の機関が9機関でもっとも多く、次いでフランスの7機関、オーストラリア6機関、スウェーデン、オランダの各5機関と続く。米国はCalPERSを含めて3機関。

 

 欧州勢が34機関で全体の72%を占めた。PRI自体が英国の非営利機関であることから、その普及活動の中心が、欧州の年金、生保、金融機関を対象として進んできたことを反映した結果ともいえる。地域別では、欧州の34機関のほか、オセアニアが8機関、北米4機関、アフリカ1機関。アジア、中東はゼロ。

 

 日本は77の署名機関を抱え、そのうち資産保有機関は、積立金管理運用独立行政法人(GPIF)以下、20機関となっている。GPIFも今回の選考対象だったが、あえなく圏外だった。他のアジア諸国からも選ばれなかった。

 

「Leaders」に選考された機関のPRI署名年次別区分
「Leaders」に選考された機関のPRI署名年次別区分

 

 「Leaders」に選ばれた機関のPRIへの署名年別にみてみると、PRIが立ち上がった206年にいち早く署名した機関が全体の36%と最も多い。PRIの趣旨に賛同し、当初から行動をともにしてきた年金等が評価も高かったことになる。発足3年以内に署名した機関にまで広げると、55%と過半を占める。

https://www.unpri.org/signatories/showcasing-leadership/leaders-group-2019