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仏大手銀、BNPパリバ、超々臨界圧石炭火力(USC)を含むすべての石炭火力発電関連融資を、EU域内で2030年までに、世界では2040年までに停止。発電事業者に事業転換を促す「対話」も実施(RIEF)

2019-11-27 15:16:21

BNP1キャプチャ

 

 フランス大手銀行のBNPパリバは、すべての石炭火力向け関連融資を、EU内では2030年までに、グローバルベースでは2040年までに停止すると発表した。停止対象には超々臨界圧石炭火力(USC)や一般経費等の融資も含まれる。同時に再生可能エネルギー事業への支援を強化するため、2021年までに新たに180億ユーロ(約2兆1600億円)を投じるとした。

 

 BNPパリバはこれまでも数十年にわたって、世界市場で発電事業者向けの融資を展開してきた。しかし、地球全体が「気候異常事態(Clmate Energency)」に直面しているとの認識で、これまでの融資先企業に対して、CO2排出量を可能な限り抑制するビジネスモデルへの転換を奨励することを目指す。

 

 すでに2015年のパリ協定成立以来、同行は同協定の目標と整合性を持つエネルギー事業の移行(Energy Transition)を加速する投融資にコミットしてきている。これまで定期的に顧客企業の移行を支援する方針を改定し、移行行動をとらない一定のカテゴリーの企業向けの融資を停止してきた。

 

 BNP Pariba1キャプチャ

 

 2015年末の時点で、石炭産業への投融資クライテリアを強化し、その後2017年には、収入の大半が石炭等の化石燃料源に依存する企業(電力会社)向けの投融資活動の停止を、大手銀行として初めて宣言している。

 

 これまでの方針に基づく投融資引き揚げ資金は、低炭素事業に移行中あるいは、再エネ事業を展開する事業者向けに振り向けられてきた。その結果、BNPパリバは再エネ事業ファイナンスのグローバルリーダーの一つになったと強調している。

 

 今回の石炭火力向け投融資の全面停止宣言は、こうしたこれまでのエネルギー・トランジションを加速する戦略と整合するものだ。2017年以来、電力会社の新規石炭火力発電所向けの投融資の停止してきたが、電力会社向けの一般的な融資は続けられてきた。

 

環境NGOからの「圧力」も強い
環境NGOからの「圧力」も強い

 

 今後、同行はまだ石炭火力発電を内外で継続している電力会社の今後の経営戦略についての「対話」を強化していくとしている。特に、新規の石炭火力発電事業を計画し、目指す電力会社との関係は一般融資を含めて停止するとしている。

 

 BNPパリバは2016年以来、電力会社向け投融資に占める石炭火力発電の比率を開示している。その比率は、2018年に初めて20%を切ったという。グローバル平均は38%とされる。

 

 再エネ投融資については、2015年時点で、2020年までに倍増の150億ユーロの目標を立てた。実際は昨年末で、この目標を上回る154億ユーロのファイナンスを実現した。これを受け、今回、2021年までに180億ユーロの新目標を設定した。

 

CEOのJean-Laurent Bonnafe氏
CEOのJean-Laurent Bonnafe氏

 

 今年の9月までの再エネ投融資の実績は、BNPは欧州でトップ、世界全体での新規のプロジェクトファイナンス額では28億4300万ユーロを供給、第3位の位置につけている。

 

 CEOのJean Laurent Bonnafé氏は「われわれは、銀行として、顧客を支援することで、必要なエネルギー移行を進める機会と、意志を持っている。この移行を成功させるには、経済モデルに適合し、また世界中の人々の日々の必要性を反映した、公正でバランスのとれた移行を目指さなければならない。今回の新たなコミットメントは、明確な目標を持ち、BNPパリバが気候変動に対する断固たる貢献を進める新たなステージを示すものだ」と強調している。

 

https://group.bnpparibas/en/press-release/bnp-paribas-announces-timeframe-complete-coal-exit-raises-financing-targets-renewable-energies