HOME8.温暖化・気候変動 |アジア開発銀行(ADB)、今年の気候関連投融資額年60億㌦(約6500億円)を達成5年前の2倍。来年の目標額を1年前倒しで実現。 「アジアでの気候バンク」をアピール(RIEF) |

アジア開発銀行(ADB)、今年の気候関連投融資額年60億㌦(約6500億円)を達成5年前の2倍。来年の目標額を1年前倒しで実現。 「アジアでの気候バンク」をアピール(RIEF)

2019-12-10 22:25:48

ADB1キャプチャ

  アジア開発銀行(マニラ : ADB)は、2019年の気候関連投融資額が5年前に比べて倍増、年間60億㌦(約6500億円)に達したと発表した。ADBは2015年の国連気候サミットで、国際公的金融機関として初めて気候ファイナンスを打ち出した。年60億㌦の目標達成は2020年達成の予定としていたが、1年早く達成した。

  19年の60億㌦達成の事業は、カンボジアでの農業改善事業と、中国での都市の活性化と気候レジリエンス事業の2事業だった。60億㌦のうち、14億㌦は気候変動の適応策事業で、残りの48億㌦は太陽光発電等の回避策事業。

 ADBが気候関連投融資額の目標を一年早く達成したことは、マドリードで開催している国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)でも歓迎された。国際公的金融機関が気候関連ファイナンスを積極的に実行していることは、パリ協定に基づく各国の野心的な国別気候行動を支援することにつながるとの期待が大きい。

 ADBの中尾武彦総裁は「COP25に集まった各国の代表は、気候行動の増大を約束すべきだ。ADBは、アジア・太平洋地域で、資金供給と技術供与の両面で貢献する『気候バンク』としての役割の準備を高めている。アジア等での気候解決のためにファイナンスを進めることは、同地域の経済発展、貧困削減、生命の維持等につながる」と述べた。

 さらにADBはパリ協定の国別削減貢献(NDCs)を打ち出した途上国各国が、低炭素社会へ移行し、気候レジリエンスを高め、開発の道を歩めるように、各国支援を打ち出している。これらの方針は、ADBの「2030年戦略」に沿うもので、同戦略では気候変動への対応の重要性、気候と災害へのレジリエンス(強靭性)の構築、環境持続可能性の高度化を目指している。

 ADBは投融資資金の75%を気候関連の適応事業、回避事業にフォーカスする方針。さらに、2030年までの融資総額を一段引き揚げて年80億㌦とする予定だ。さらに国連の「緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)」などとの共同融資にも力を入れる。資金調達面ではグリーンボンドでの調達額が50億㌦に達している。同ボンドでの資金使途先としては、フィリピンでのTiwi–MakBan地熱発電事業をはじめ、インドネシア、タイ、ベトナム等で展開している。

https://www.adb.org/news/adb-meets-commitment-double-annual-climate-financing-6-billion?utm_source=news&utm_medium=email&utm_campaign=alerts