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米国で黒人コミュニティ支援で最大の地域金融機関、来年誕生へ。東西海岸のコミュニティ開発金融機関(CDFI)合意。資本力増強で、コロナと社会的不平等の影響受ける地域対策を強化(RIEF)

2020-08-29 23:03:47

CFB001キャプチャ

 

   米国で黒人差別への反発が高まる中で、黒人主導の全米最大のマイノリティ貯蓄機関の誕生が決まった。東海岸のワシントンにある「CFBanco Corporation(City First)」と、西海岸ロサンゼルスにある「Broadway Financial Corporation」の2機関が対等合併を決めた。正式合併は来年第一四半期の予定。両機関とも財務省からコミュニティー開発金融機関(CDFI)に認定されており、合併で資本力を強化し、低・中所得の黒人コミュニティ等への資金供給を強化する。

 

 両機関とも日本でいえば、地域立脚の信用金庫、信用組合に相当する地域銀行。合併後の総資産は10億㌦強(1050億円)、運用資産額8億5000万㌦になる。両機関はともに米財務省が地域コミュニティの貧困地区や停滞地区にある零細企業、中小企業支援や、低中所得家庭の住宅取得支援、NPO等の活動支援のファイナンスを展開するCDFI機関に指定されている。

 

Federalの本店
ロサンゼルスにあるBroadway Financial Corporationの本部

 

 CDFI機関は、個人や企業から受け入れた預金の少なくとも60%を地域の個人、企業向けの融資することを求められる。地域のお金を地域に循環する機関だ。そうした地域活動を支援する形で、米財務省はCDFIファンドを設立。毎年、無コスト資金を全米で活動するCDFI機関に供給している。また、大手銀行や投資家から有利な資金調達ができる制度も設けている。

 

 今回の合併は、ホールディング会社のBroadwayがCFBを買収すると同時に、銀行のBroadway Federal BankはCity First Bankに買収される形とする。合併のファイナンシャルアドバイザーはRaymond James & Associates, Inc. が担当した。

 

City First bankの店舗
ワシントンにあるCity First Bankの店舗

 

 CFBのCEOで頭取の Brian E. Argrett氏は「新型コロナウイルス感染の影響や、社会的不公平の拡大による社会不安等による複合的要因が高まる中、コミュニティに立脚したCDFI機関の緊急性と必要性がまさに重要になっている」と強調。合併によってその活動を強化、拡大する決意を示している。

 

 BroadwayのCEOで頭取のWayne-Kent A. Bradshaw氏も「この歴史的な統合の要因としては、われわれが地域のコミュニティに長期にわたってコミットし、人々や企業へのファイナンスを強化することが、豊かな地域コミュニティの繁栄を生み出し、魅力的な市場拡大につながる点が大きい」と指摘している。

 

 新金融機関の会長はBroadwayのBradshaw氏が、CEOはCFBのArgrettがそれぞれ就任する予定。事業活動はそれぞれ現状と同様に東海岸と西海岸それぞれに置く本店を継続する。Bradshawが議長となる理事会は9人で構成、CFBから5人、Broadwayから4人。

 

https://www.cityfirstbank.com/sites/default/files/FINAL_Press%20Release_Merger%20Announcement_08.25.2020_GN_9PM.pdf